採用活動における母集団形成は、「量」と「質」両方の視点で考えなければなりません。新卒採用が難化するなか、採用担当者からは「やっとの思いで人数は集めたけれど、採用基準を満たす人材がいなかった」という声もよく聞かれます。
母集団の質を向上するためには、採用手法や訴求する情報を見直すことが有効です。本記事では、母集団形成の方法や、質を向上させるポイントについて詳しく解説します。
「なぜ”いい学生”が来ないのだろう…」とお悩みの方も、解決のための具体策を紹介していますので、ぜひご覧ください。
母集団形成とは
新卒採用における「母集団」とは、採用候補となる学生のことを意味します。したがって、自社の求人に興味関心を持つ学生を集めることが「母集団形成」です。まだ正式に応募していなくても、説明会に参加したりプレエントリーしたりした学生も、母集団に含まれます。
母集団形成は採用目標数を達成するために重要
母集団形成は、採用目標を達成するために重要な工程です。以下は、人材大手のリクルートが全国4,800社以上を対象として23卒の採用活動を調査した結果です。
2022年12月時点で採用目標数を充足できた企業は40.4%にとどまりました。前年の52.2%から約12ポイントも減少しており、新卒採用の難化がうかがえます。
また、採用数を充足できなかった理由としては「選考応募者が予定より少なかった」「内定辞退が予定より多かった」が上位に挙がりました。
最終的な採用結果では、採用予定数を100とした場合、内定出しは179.1人、内定辞退が83.3人、内定が92.6人という結果になりました。内定出しから内定までにほぼ半数が辞退してしまうという、厳しい状況が分かります。
母集団形成は「量」×「質」で考える
上記の調査結果で、採用目標数を達成するためには十分な数の母集団が必要であることが分かりました。
一方で、ただ人数が多ければ良いという訳ではありません。働く上で必要な知識やスキルを兼ね備え、自社のビジョンや社風に共感してくれる学生を集めないと、ミスマッチを起こしてしまいます。
したがって、母集団形成には「量」と「質」の両面で考えることが大切です。
母集団形成の方法8選
ここからは、母集団形成の方法を8つ紹介します。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自社に合った方法を選びましょう。
- ナビサイト
- 合同説明会・就活イベント
- インターンシップ
- ダイレクトリクルーティング
- 新卒紹介
- 自社採用サイト
- リファラル採用
- SNS
ナビサイト
ナビサイトは、代表的な母集団形成の方法です。登録者が多いため、全国の学生に幅広く自社をアピールできます。最近は「リクナビ」や「マイナビ」のような大手サイトだけでなく、「ベンチャー企業向け」や「体育会系学生向け」など、さまざまな特徴を持つサイトもあります。
一方で、大手企業や有名企業に人気が集中しがちなこと、採用の成果に関わらず掲載費用がかかることなどが、デメリットと言えます。
合同説明会・就活イベント
合同説明会や就活イベントでも、母集団が形成できます。自社のことを知らなかった学生にも、会社概要や雰囲気を直接伝えられるのがメリットです。
ただし、ナビサイトと同様に有名企業に人気が集中する傾向があります。また、イベントそのものの来場者数が少ないと、思うように集客できないこともあるのがデメリットです。
インターンシップ
インターンシップは、学生が社会に出る前に仕事を体験する制度です。正式名称は「学生のキャリア形成支援活動」と言い、25卒から制度が変わりました。
1日で業界や自社の情報を提供する「オープンカンパニー」や、5日以上かけて就業体験をしながら仕事に関する理解を深める「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」など、さまざまなタイプがあります。
インターンシップは企業の実態が伝わりやすいため、自社に合う学生が集まりやすいのがメリットです。一方で、募集や運用の労力がかかるのが難点と言えます。
インターンシップについては、こちらの記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
5分で分かる!インターンシップ形態変化の最新情報~2025卒版~ | 理系採用ドットコム (techoffer.jp)
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が自社に合う学生に直接アプローチする方法です。「スカウト」とも呼ばれます。
ダイレクトリクルーティングでは、あらかじめ学生のプロフィールを見たうえで、条件に合う学生にアプローチできるため、母集団の「質」を高めるのに有効です。企業の知名度が低くても、学生に認知してもらえるのもメリットです。
ただし、オファー対象者の絞り込みやメール送信など、工数がかかることがデメリットです。
新卒紹介
新卒紹介とは、人材紹介会社に採用基準を伝え、条件に合う学生を紹介してもらう方法です。以前は中途採用に多く見られた採用手法ですが、近年は新卒でも増えています。
人材紹介の場合、紹介会社があらかじめ人選してくれるので、質の高い母集団形成が期待できます。一方で、紹介料が高額になりがちなことや、一度に大量の紹介を受けられないことがデメリットと言えます。
自社採用サイト
自社の採用サイトでも、母集団形成は可能です。
自社の採用サイトなら情報量やデザインに制限が無いため、魅力を自由に発信できるのがメリットです。最近は動画を活用して、企業イメージや社長メッセージ、先輩社員のインタビューなどを紹介する企業が増えています。
一方で、採用サイトの構築や制作には工数と手間がかかるのがデメリットです。また、そもそも採用ページにたどり着いてもらわなければ、効果が得られません。
リファラル採用
リファラル採用とは、既存社員や内定者の友人や知人を紹介してもらう方法です。
特に理系採用の場合、社員の出身大学・研究室の後輩を紹介してもらうと、質の高い母集団形成が期待できます。自社のことを良く知る人からの紹介なので、ミスマッチが起きにくいのがメリットです。
一方で、既存社員や内定者との信頼関係が築けていないと紹介してもらえません。また、一度に紹介してもらえる人数にも限りがあることが、デメリットです。
SNS
最近は、SNSでの情報発信によって母集団形成を目指す企業も増えています。InstagramやTwitter、Facebookなどで、自社の取り組みや職場の雰囲気を発信し、採用ページに誘導する方法です。
学生と気軽につながりを持て、親しみを感じてもらえるのがメリットです。一方で、不適切な発言による炎上に注意しつつ、面白いコンテンツを発信し続けなければならないのが難しい点と言えます。
母集団形成における質向上のための4つのポイント
母集団形成における質を向上させるポイントは、以下の4つです。
- ターゲットを明確にする
- 複数の母集団形成方法を組み合わせる
- 学生が求める情報をアピールする
- 採用活動のPDCAサイクルを回す
それぞれについて、詳しく解説します。
ターゲットを明確にする
母集団を形成する際、まずはターゲットを明確にすることが大切です。ターゲットの決め方には、大きく分けて2つの方法があります。
1つは、企業の経営理念やビジョンをもとに、求める条件を設定する方法です。例えば「5年後に海外進出」というビジョンがある場合、帰国子女や留学経験のある学生を積極的に採用します。
もう1つは、過去の採用実績や活躍社員の特徴を分析して、求める条件を設定する方法です。「情報系学部の出身者は定着率が高い」「体育会系の社員が活躍している」などの傾向があれば、同じ属性の学生にアプローチします。
複数の母集団形成方法を組み合わせる
前章で紹介した通り、母集団形成の方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。そのため、複数の方法を組み合わせることで、それぞれを補完してより質の高い母集団が形成できます。
おすすめは、企業側から積極的にアプローチする「PUSH型」と、情報を提供して学生からの応募を待つ「PULL型」の組み合わせです。例えば、PUSH型としてダイレクトリクルーティング、PULL型としてナビサイトを使うと、双方の強みが発揮できます。
学生が求める情報をアピールする
質の高い母集団を形成するためには、広報活動で学生が求める情報をアピールすることが大切です。
このとき注意したいのは、必ずしも「企業がアピールしたいこと」と「学生が求めること」が同じではないという点です。企業がどれほど「やりがい」や「成長」をアピールしても、学生が「ワークライフバランス」や「福利厚生」を重視していたら、響きません。
自社がターゲットとする学生が、就職で何を重視しているのかをしっかりリサーチしましょう。
採用活動のPDCAサイクルを回す
採用活動では、PDCAサイクルを回すことも大切です。
採用担当者は多くのタスクに追われるため、つい「昨年がこうだったから、今年も同じ方法で」と決めてしまうことがあります。しかし、母集団の質を高めていくためには、前年の結果を分析し、反省を活かすことが不可欠です。
また、社会情勢や多様化によって、効果的な手法はどんどん変化していきます。広報活動をしながら、反響が悪ければ柔軟に軌道修正していきましょう。
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新卒採用における母集団形成は、その年の採用数を左右する重要な取り組みです。人数を集めるだけでなく、質を高める工夫もしなければなりません。
母集団の質を向上させるためには、ターゲットを明確にし、複数の採用手法を組み合わせることが有効です。PULL型のナビサイトや採用サイトだけでなく、PUSH型のダイレクトリクルーティングやリファラル採用も積極的に使いましょう。
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