企業の採用活動で実施されることの多い「適性検査」ですが、どのような要素を測定でき、どのようなメリットがあるのでしょうか。
本記事では適性検査について、メリットや選び方、活用方法を解説します。「適性検査は必要?」「適性検査にはどのような効果があるの?」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
適性検査とは
適性検査は、大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2種類があります。
本章では、各検査の特徴を詳しく見ていきましょう。
能力検査
能力検査とは、思考力や論理性、数値能力などの基礎的な学力を定量的に測定できる検査です。
能力検査の問題は、「言語分野」と「非言語分野」の2種類に分かれます。言語分野では、「言葉の意味や話の要旨を的確に捉えられるか」、非言語分野では「数的な処理ができるか」などが測定されます。
能力検査といっても高得点が求められるわけではなく、企業が設定している基準点を獲得できていれば合格です。
性格検査
性格検査とは、応募者の性格や価値観を測定する検査です。日ごろの行動や考え方に関する質問の回答から、応募の思考の特性を把握します。
企業は性格検査の結果をふまえて「求める人材像に合っているか」「どのような業務内容が適しているのか」などを判断します。
性格検査に正解はなく、「応募者の性格特性が企業と合うか」を判断するための指標です。
適性検査を実施するメリット
企業の採用活動で利用されることの多い適性検査ですが、実際はどのようなメリットがあるのでしょうか。
本章では、以下の3つのメリットをご紹介します。
- 基礎能力を客観的に測れる
- パーソナリティを定量的に測れる
- 公平な選考基準を設けられる
基礎能力を客観的に測れる
適性検査は、基礎能力を客観的に測る指標です。
書類選考や面接で基礎能力を確認する場合、面接官によって判断基準が異なったり、応募者同士を比較検討しづらかったりと、さまざまな課題があります。
適性検査を活用することで、基礎能力を数値として可視化でき、客観的な指標として活用できます。
パーソナリティを定量的に測れる
適性検査を活用することで、性格などのパーソナリティを定量的に測定できます。
書類選考や面接だけでは応募者1人1人のパーソナリティを把握することは難しいでしょう。また面接官や採用担当者によって、パーソナリティの感じ方が異なる場合もあります。
短い選考時間を有効に活用するためにも、適性検査を用いてパーソナリティを可視化することが効果的です。
公平な選考基準を設けられる
適性検査を用いて一定の指標を設けることで、公平な選考基準を設けられます。
書類選考や面接など、選考担当者が複数人にわたる場合は、選考基準があいまいになってしまったり、選考結果を決定するのに時間がかかったりすることもあります。
適性検査を活用して選考基準を設けることで、選考基準が公平かつ明確になるため、選考時間の削減にもつながります。
適性検査の選び方
採用活動に効果的な適性検査ですが、種類もさまざまです。
以下の選定ポイントを確認して、最適な適性検査を導入しましょう。
- 検査内容は適しているか
- 受験方法は適しているか
- アウトプットは適しているか
検査内容は適しているか
適性検査の中には、能力検査のみ受験できるもの、適性検査のみ受験できるもの、能力検査と適性検査の両方を受験できるものなど、さまざまなパターンがあります。
適性検査の実施目的に合わせて、どの検査内容が必要か判断し、選択しましょう。
受験方法は適しているか
適性検査の受験方法には、ペーパーテストやWebテスト、テストセンター、インハウスなどがあります。
それぞれの特徴やメリットデメリットは、以下の通りです。
受験方法 | メリット | デメリット |
ペーパーテスト | ・筆記試験を行うため不正が発生しづらい | ・会場や監督者が必要・集計や分析に時間がかかる |
Webテスト | ・自宅などで好きな時間にパソコンから受験できる・集計や分析が素早く行える | ・不正が行われるリスクがある |
テストセンター | ・運営を委託するため、採用担当者の負担を軽減できる | ・運営委託費用が掛かる |
インハウス | ・自社で会場を用意するため、運営委託費用を抑えられる | ・準備、運営に負担がかかる |
受験方法によって、「運営にかかる負担」「集計・分析のスピード」「不正が発生する可能性」などが異なります。メリットデメリットをふまえて最適な受験方法を選定しましょう。
アウトプットは適しているか
検査結果のアウトプット方法も、適性検査の種類によって異なります。
検査結果を図や表で解説してくれたり、面接で聞いた方がいいことを抽出してくれたりと、検査によってさまざまな特徴があります。
検査結果を活用する場面を想定して、そのようなアウトプットが適しているか確認しましょう。
適性検査の活用方法
適性検査の活用方法は、選考時だけではありません。採用から教育まで、幅広い場面で活用できます。
本章では、適性検査の活用方法をご紹介します。
内定者フォロー
適性検査の結果をもとに内定者と面談を行い、内定者の志望度を高めることも可能です。
面談で、検査結果や適性のある業務を伝えることで、内定者自身の自己理解が深まり、企業でのキャリアプランを描きやすくなります。内定企業での働き方が想像できることで、意欲がわき、志望度も高まるでしょう。内定辞退の防止にも効果的な活用方法です。
配属・教育研修
適性検査の結果は、配属・教育研修にも活用できます。
適性検査の結果をもとに適性のある部署・職種へ配属することで、社員の強みをいかして働けます。適性のない業務をしてストレスを抱えることも減るため、働きやすく活躍しやすい環境を提供できます。
教育研修のカリキュラムに反映することも効果的です。社員全体の能力や性格特性の傾向を把握できるため、会社としてどのような教育を行うべきかの指標になります。
採用活動の分析
適性結果の結果は、採用活動の分析にも活用できます。
適性検査の結果から「どれくらいの能力を持った応募者が多かったか」「どのような性格特性を持った応募者が採用されたか」などを分析できます。
採用活動全体の傾向を把握し、採用戦略を改善することで、採用の質を高めることが可能です。
おすすめの適性検査3選
本章では、おすすめの適性検査3選についてご紹介します。
各検査の特徴について、詳しく見ていきましょう。
- SPI
- 玉手箱
- Compass
SPI
画像出典元:リクルート「SPI3」
SPIは、リクルートが実施している適性検査です。最も有名な適性検査といっても過言ではありません。
40年以上の実績と蓄積データを保有しており、数多くの企業で導入されています。大企業から中小企業まで幅広い企業が利用しており、高い精度を持つ適性検査です。
SPIでは「面接で確認したほうがいいこと」が検査結果に記載されます。誰でも質の高い面接が行えるので、採用担当者の負担削減にもつながります。
SPIのポイント
- 40年以上の実績がある
- 大企業から中小企業まで幅広く利用できる
- 検査結果で「面接で確認したほうがいいこと」が分かる
玉手箱
画像出典元:日本エス・エイチ・エル「Webテスト」
玉手箱は、SPIに次いで知名度の高い適性検査です。「知的能力」と「パーソナリティ」の両面から測定できます。
具体的には、「計数問題」「言語問題」「英語問題」「性格適性」の4種類で構成され、複数の出題形式で出題されます。
問題数が多く、短時間で大量の問題を解かなくてはならないため、素早く正確に回答する必要があります。
玉手箱のポイント
- SPIに次いで知名度が高い
- 「計数問題」「言語問題」「英語問題」「性格適性」がある
- 問題数が多い
Compass(コンパス)
画像出典元:ジィ・ディー・エル「適性検査CUBIC」
Compass(コンパス)は、コミュニケーションやストレス耐性など、現代の採用テーマに適したアウトプットを実現できる適性検査です。
受験後すぐに検査結果が表示されるため、スピーディーな採用活動が行えます。
検査結果のレポートは、「採用判定レポート」「パーソナリティレポート」「フィードバックレポート」の3種類があります。「フィードバックレポート」では、受験者の今後の能力開発にも役立つアドバイスが行えるので、さまざまな場面で役立つ適性検査です。
Compass(コンパス)のポイント
- コミュニケーションやストレス耐性など幅広いテーマを測定できる
- 検査結果を即時確認できる
- 検査結果レポートの種類が豊富
適性検査まとめ
本記事では適性検査のメリットや選び方、活用方法についてご紹介しました。
適性検査を実施することで、基礎能力やパーソナリティを客観的に捉えられます。また、選考の公平性を高めたり、採用担当者の負担削減にもつながります。
本記事の内容を参考に、適性検査について理解を深めていただければ幸いです。