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2021年の流行語に「親ガチャ」がランクインして以来、自分では選べない状況のことを「〇〇ガチャ」と表現することが一般化してきました。
就活においては「配属ガチャ」や「上司ガチャ」という言葉が使われており、希望通りにならないことを「配属ガチャにはずれた」と言います。配属ガチャは、内定辞退や早期離職につながることもある問題です。
企業は、配属ガチャのせいで新卒社員が離れてしまわないよう、対策をしなければなりません。本記事では配属ガチャの問題点や、企業ができる5つの対策について詳しく解説します。新卒社員の内定辞退や早期離職にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
配属ガチャとは
配属ガチャとは、新入社員の勤務地や職種などの配属先が、必ずしも希望通りにはならない状況のことを言います。本人の意志では決められず、何が出るか分からない状態をカプセルトイになぞらえて「ガチャ」と呼ばれるようになりました。
日本の新卒採用は、総合職として一括採用し、入社後に職種を決める「メンバーシップ型採用」が主流です。そのため、入社を決意する段階では配属先が知らされていないことも珍しくありません。入社が確定してから配属先が告げられても、新入社員は受け入れるしかないため、モチベーションの低下や早期離職につながることがあります。
配属ガチャの「あたり」と「はずれ」
配属ガチャの「あたり」と「はずれ」の具体例として、次のようなものが挙げられます。
<あたり>
- 希望した部署や勤務地
- 良い上司・先輩がいる部署
- 出世しやすい部署
- スキルが身に付く職種
<はずれ>
- 希望と違う部署や勤務地
- 嫌な上司・先輩がいる部署
- 残業が多い部署
- 知り合いがおらず、娯楽も少ない地方での勤務
仕事に対する価値観は、「都会でバリバリ働きたい」「静かな環境でゆったり働きたい」など、人によってさまざまです。そのため、何をもってガチャの「あたり」とするかも、人によって異なります。
配属先に対する就活生の意識
引用:「配属ガチャ」についての意識調査(インタツアー)|EdTechZine
ここからは、配属先に対する就活生の意識について解説します。
上記は、インタツアー社が24卒の学生232名にアンケート調査をした結果です。「配属先について何を重視していましたか」という問いでは、勤務地が64.2%、職種・部署が24.6%という結果になりました。
また、勤務地を希望する理由を尋ねた結果は、「実家があるから」が27.2%、「今住んでいる場所に近いから」が26.3%、「友人がたくさんいるから」が22.0%でした。これまでの慣れ親しんだ環境や人間関係を維持したい、という気持ちがうかがえます。
同調査では「配属先の告知時期は内定の承諾保留や内定辞退に影響しましたか」という質問も実施しています。こちらは、「保留や辞退の要因になった」と答えた人が24.6%、「辞退を検討する要因になった」が11.2%、「影響しなかった」が64.2%という結果になりました。およそ3人に1人が入社に対してネガティブな影響を受けた一方で、3人に2人は影響しなかったようです。
配属ガチャの問題点
配属ガチャの問題点として大きく2つの点が挙げられます。
- 入社が決まってから配属先が発表される
- 本当は自分で勤務地や職種を選びたい
それぞれについて、詳しく見てみましょう。
入社が決まってから配属先が発表される
引用:「配属ガチャ」についての意識調査(インタツアー)|EdTechZine
先ほどのインタツアー社の調査では、配属先の告知時期についてもアンケートを実施しています。これによると、内定式〜入社式の間で告知された人が半数で、内定式前または入社後がそれぞれ約25%ずつという結果でした。
さらに「告知時期についてどのように感じましたか」との問いでは、「遅いと思った」が55.6%、「ちょうどよかった」が37.5%、「早いと思った」が6.9%となりました。
このことから、半数以上の人が「告知が遅い」と感じていることが分かります。内々定が早く決まった人の場合、自分の配属先が分かるまでに1年近くかかることも考えられます。不安な状態が長期間続くうえ、決定したら短期間で物件探しや引っ越しの準備をしなければならないことは、大きな負担です。
また、希望通りの配属にならなかった場合には「もし配属先が分かっていたら、別の内定先にしたのに…」と後悔することもあるようです。
本当は自分で勤務地や職種を選びたい
本当は自分で勤務地や職種を選びたいのに、企業側に決められてしまうことも、配属ガチャの問題点です。
マイナビは23卒の学生約5,000名を対象に、「配属先を自身で判断して決めたいか、会社に適性を判断してもらいたいか」を調査しています。その結果、「自分で選びたい」と回答した人が全体の54.9%で最多となり、理系学生に限っては57.2%の人が「自分で選びたい」と答えました。
理系学生は、文系に比べて自分の専攻分野と関連性のある企業に就職する割合が高いのが特徴です。そのため、入社後の仕事内容や勤務地についても、明確な希望を持っていると考えられます。
参考:2023年卒大学生活動実態調査 (6月) | マイナビキャリアリサーチLab
配属ガチャによるモチベーション低下を防ぐ5つの対策
やっとの思いで採用した新卒社員が、配属ガチャのせいで入社辞退や早期離職をしてしまうのは、企業にとって大きな損失です。ここからは、配属によるモチベーション低下を防ぐための対策を5つ紹介します。
- 本人の希望を確認する
- 内定通知の時点で配属先も告知する
- 配属の理由を説明する
- 内定者フォローを徹底する
- ジョブ型採用を導入する
ちょっとした伝え方の工夫でも効果はあるため、できることから取り入れていきましょう。
本人の希望を確認する
まずは本人の希望を確認することが大切です。もちろん「全員の希望に沿えるわけではない」という前置きは必要ですが、一度は希望として受け止めることで、本人の気持ちに寄り添う姿勢を見せられます。
また、あらかじめ本人の希望を聞いておくことで、結果的に希望通りにならなかった人のフォローを手厚くするといった対策も可能になります。
内定通知の時点で配属先も告知する
早い段階で配属先が決まっている場合は、内定通知と一緒に配属先を伝えることも有効です。学生は具体的な勤務地や仕事内容を踏まえて入社を検討できるため、ミスマッチを防げます。場合によっては「配属先を理由に入社を辞退する」という結論に至るかもしれませんが、入社式や研修の後で辞めてしまうぐらいなら、早く判断できた方がお互いのためになります。
また、早めに伝えることで学生側も心の準備をする時間ができ、配属を前向きに捉えたり、業務に必要な勉強を始めたりできることもメリットです。
配属の理由を説明する
配属ガチャによるモチベーション低下を防ぐためには、配属の理由を説明することも重要です。例えば「あなたのこういう能力が適していると考えた」「こんな風に活躍してほしい」など、具体的な理由や期待する役割を伝えるようにしましょう。
もし、配属が本人の希望通りではない場合には、その部署で経験を積むことの意義や、活躍している先輩社員の話などを伝えることも、モチベーションの向上につながります。
内定者フォローを徹底する
配属先が本人の希望通りかどうかにかかわらず、内定者フォローは徹底するようにしましょう。
学生は内定から入社するまでの間、本当にその仕事でやっていけるのか、職場の人間関係はどうなのかなど、さまざまな不安を抱えています。入社前から定期的に先輩社員と交流したり、内定者同士で親睦を深めたりすることで、働く姿をイメージしやすくなります。
ジョブ型採用を導入する
配属ガチャによるモチベーション低下を防ぐために最も効果的な対策は、ジョブ型採用を導入することです。
ジョブ型採用とは、募集の時点で職種や勤務地などの配属先を明示する採用手法のことを言います。入社後に配属を決めるメンバーシップ型採用とは違って、職務ありきで採用するため、転勤や配置転換も基本的にはありません。
ジョブ型採用なら、配属先に関するミスマッチが起きにくいのがメリットです。ただし、社内の人事制度を大幅に改革する必要があり、会社都合の配置転換もできなくなってしまうことがデメリットになります。
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配属先の決定は、新入社員のモチベーションを大きく左右する要素です。実際に、多くの学生が「配属先の発表が遅い」と感じており、本当は自分で選びたい、住み慣れた環境のままで働きたい、と考えていることが調査でも明らかになっています。
配属ガチャによるモチベーション低下を防ぐためには、本人の希望を聞いたり、配属理由を説明したりして、丁寧に対応することが大切です。特に理系学生の場合は、勤務地や職種へのこだわりが強い傾向があるため、手厚いフォローを心がけましょう。
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