母集団形成と聞いてもどのような意味なのか分からない人も多いでしょう。
母集団形成は企業が採用活動をする上で欠かせない工程であり、どのような学生又はどれくらいの人数の学生が自社に興味を持っているのか知ることを言います。
母集団形成には様々なメリットがあり、採用活動をする上で予算の見積もりができたり、社員の定着を可能にしたりします。今回は母集団形成について詳しく説明します。
母集団形成とは
母集団形成とは自社の求人に興味を持っている学生を集めることです。つまり、「採用候補者の集団」を指しています。母集団形成は実際に応募している学生だけでなく、興味を持っている学生も含んでいます。
母集団形成のメリット
母集団形成には様々なメリットがあり、採用予算の見積もりが可能なことや、計画的に採用活動ができること、社員の定着が可能なことなどが挙げられます。本章で、詳しく説明します。
採用予算の見積もりが可能
母集団形成の1つ目のメリットは、採用予算の見積りが可能なことです。
採用する上では様々な工程があり、ある程度の費用がかかってしまいます。採用予算は学生の数によって大きな変化があるため、母集団形成をすることで、ある程度の人数を予想することができ、採用予算を算出しやすいです。
母集団形成をしないまま採用予算を算出すると、実際に応募してくる人数と応募してきた人数に大きな違いが出てしまうことがあります。そのため、採用予算が大きく変わってしまうこともあります。
母集団形成をすることで採用予算を算出できることは大きなメリットです。
計画的に採用活動ができる
2つ目のメリットは計画的に採用活動ができることです。
採用活動は求人を出す・応募者を集める・面接をする・採用者を選定する・最終面接・内定と多くの工程があります。中でも面接や採用者の選定は一番時間がかかる工程です。
母集団形成をすることで応募者の人数をある程度把握することができます。そのため、面接や選定にどれくらい時間が必要なのかを見極めることができ、計画的に採用活動をする上で大きなメリットです。
社員の定着が可能である
3つ目は社員の定着が可能なことです。
母集団形成をする上では、どのような学生がどのように自社に興味を持っているか知ることができます。自社に興味を持ってくれている学生を採用することで、学生が本当に興味を持つ会社に就職することができるため、社員の定着がしやすいです。
社員の定着は企業に様々なメリットがあり、従業員の満足度が上がることや、早期離職を防げる、長期的に利益をもたらすなどが挙げられます。そのため、母集団形成をすることは企業にとって欠かせません。
経営目標の達成に貢献できる
4つ目のメリットは経営目標の達成に貢献できることです。
母集団形成をすることで、活躍してくれそうな人材を採用することができます。また、活躍してくれる人材を適正な人数を一定数採用することで、安定的で継続的な経営目標の達成に貢献することが可能です。
母集団形成のデメリット
母集団形成には様々なメリットがありますが、その反面、いくつかのデメリットもあります。例えば、採用単価が普通の採用手法に比べて高いことや、採用ノウハウの蓄積が難しいことなどです。これから詳しく説明します。
採用単価が増える場合がある
1つ目のデメリットとしては、採用単価が増える場合があることです。採用単価とは採用にかかる採用費用のことです。
母集団形成をすることで採用したいと思う人材を多く集めることができます。魅力的な人材が多く集まることで、選定に時間がかかったり、「面接だけでもしてみよう」と思える人材がいたりします。そのため、結果的に採用単価が増えてしまい、採用にかかる費用がかさんでしまいます。
採用ノウハウの蓄積が難しい
母集団形成のデメリットとしては、採用ノウハウの蓄積が難しいことがあります。
あらかじめ自社には興味のある人材にのみアプローチするため、幅広い人材にアプローチするのが難しくなります。また、母集団形成は採用時における工数を減らしたり、採用活動を簡単にするメリットがあるため、なるべく少ない工程で採用活動をすることになりす。
そのため、採用ノウハウが蓄積しないというデメリットが生じてしまい、採用手法がパターン化してしまうのです。
採用時における母集団形成のコツ
採用時における母集団形成はコツを掴むことで成功させやすくなります。母集団形成のコツは新卒採用の場合と中途採用の場合で異なります。本章で、採用時における母集団形成のコツを確認しましょう。
新卒採用の場合
新卒採用の場合は学生のスケジュールを踏まえた上で計画を立てる必要があります。
新卒採用の学生は学校のスケジュールに合わせて就職活動をするため、学生のスケジュールを把握した上で内定を出す時期や面接を行う時期を決める必要があります。
学生のスケジュールに合わせずに進めてしまうことで、良い人材がいても集まらないというデメリットが生じてしまうのです。
次に、採用要件を明確にすることです。新卒の学生は就職したことがない学生が対象であるため、経験やスキルよりも、意欲などの人物像の方が採用基準になります。
そのため、自社はどのような人材が欲しいのか、学生に響くようなメッセージを用いて採用活動をするのが良いでしょう。
中途採用の場合
中途採用の場合は新卒採用とは違い、一人ひとりのニーズを把握した上で採用活動をするのがおすすめです。
中途採用は数回の面接で採用に至るため、採用するまでの時間がかなり短いです。そのため、新卒採用と比べてスケジュールをあまり気にする必要はありません。
中途採用ではスケジュールよりも採用要件について細かい設定が必要になります。中途採用では即戦力になるような人材を求めることが多く、就業経験があるため、スキルや経験をもとに採用することができます。
また、採用においては採用の人数設定をする必要もあります。具体的な要件のみを設定しても、人数の設定をしなければバランスが崩れてしまいます。そのため、質と量のバランスは常に考えるべきポイントです。
母集団形成の具体的なステップは?
母集団形成における具体的なステップとしては、採用ターゲット・スケジュールの策定、採用活動、振り返り・改善があります。母集団形成は正しいステップを踏むことで成功しやすいです。本章で、詳しく説明します。
採用ターゲット・スケジュールの策定
採用の目的・ターゲット・スケジュールの策定が一つ目のステップです。
採用の目的については、なぜ採用をするのか、どのような人材が必要なのか、売上を作るための人材を採用するなど、具体的な目的の設定が必要です。
採用のターゲットを決める上では、採用する目的を背景にどのような人材を採用するのかを具体的に決めます。例えば、スキルの明確化や何人採用するのか、経験者であれば2〜3人必要など、具体的なターゲットを決めましょう。
採用スケジュールは、いつまでに採用をするのかを決めます。その上で逆算して内定や面接、募集の時期などを決めましょう。いつまでに事業計画を達成するのかを決め、逆算しながら進めることが大切です。
採用活動
採用のスケジュールが具体的に決まったあとは、募集活動を行います。計画したスケジュールを用いて採用活動をしましょう。
採用活動をする際は、採用広報の観点を持つことが大事です。採用広報とは採用活動をするときだけでなく、採用後の定着や活動を見据えた上で採用活動をすることです。長期的な目線で採用活動をすることで、可能性の広い人材にアプローチできます。
採用広報では具体的に採用媒体に書く求人の文言、面接時に伝える内容など細かく決めていきます。全てにおいてターゲットを見据えた上でメッセージを考えましょう。
振り返り・改善
採用活動が終わった後は、振り返りと改善が必要です。
「どのような人材が応募したのか」、「計画通りに採用活動ができたか」、「自社の希望の人材は見つかったか」、「採用活動はスムーズに進められたかどうか」などの振り返りが必要です。
また、事細かく振り返りをした上で、改善点が見つかった場合は改善していくようにしましょう。振り返りと改善をすることで、採用活動の質を上げられます。
まとめ
母集団形成をすることで、自社に興味を持っている学生の人数を把握することができ、採用活動がスムーズに進められるメリットがあります。
母集団形成をする上では、採用のターゲットを明確に決めることや自社に合う人材を見つけるために訴求メッセージを考えるなどの工夫をしましょう。
また、母集団形成は正確なステップに基づいて行うのがおすすめです。長期的に活躍してくれる人材を探し、企業の利益が上がるような採用活動をしましょう。