人材を採用するにあたって企業が実施するのが、適性テストです。
数多くの企業が適性テストを実施しているのには理由があります。
今回は適性テストを導入するメリットと導入に向けて意識しておきたいポイントを解説します。
採用に向けて適性テストをどうしようか迷っている方は必見です。
適性テストとは
そもそも適性テストとは何なのでしょうか?
一言で言えば、入社する上で必要な適性を判断するためのテストです。
近いイメージとしては国語や数学、英語などの学力テストが近いでしょう。適性テストでは学力に関係する項目の他に、人間性や考え方の軸などパーソナリティに関係する部分も判定されます。学力・人間性の両方を実施することも可能ですし、どちらか片方だけでも可能です。
適性テストを実施する目的に合わせて、どの要素を測定するかを検討するようにしましょう。
転職サイトdodaの調査によると、適性テストを実施している企業が9割以上と、ほとんどの企業が導入しているのがわかります。中でも人気なのは「SPI」「玉手箱」となっており、どちらも20年以上の歴史があるため実際に受けた方も多いのではないでしょうか。
参照元:転職サイトdoda
採用時に適性テストを導入するメリット
実際に企業が採用時に適性テストを導入するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
一般的に以下の5つが考えられます。
- 資質や適性を知る
- 客観的な評価ができる
- 評価を一定に保つ
- 候補者の理解を深める
- 辞退者の特性を分析できる
どういうことなのか、詳しく見てみましょう。
資質や適性を知る
適性テストを導入することで、応募者の資質や適性を知ることができます。
先述したように適性テストでは2種類の要素の測定が可能です。
- 学力・能力
- 性格・適性
どちらも一緒に働く上で重要な項目ですね。
応募者が一定の行動や職業に対して、どれほど適した素質を持つかを測定しています。
学力や知能のような一側面だけでなく、感情や意欲、価値観など様々な側面からその人材を測定し、採用するに足る人物かを見極めることが重要です。
客観的な評価ができる
適性テストを導入することで、求職者を客観的に評価できます。
近年、特に重要視されているのが採用面においての客観性です。採用時に見えない部分で贔屓して、問題となったケースは多々あります。
適性テストでは点数が明確に表示されるため、数字を用いて客観的に求職者を評価できます。
面接ではわかりにくいパーソナリティや基礎的な能力を測定できるのもあり、面接ではわからなかった部分まで判断材料として使えるでしょう。
一方で適性テストという性質上、コミュニケーション能力など測定が困難なものもあります。
長年運営されている適性テストの場合、対策法が出回っていることもあり、あまりアテにならない可能性もあることに注意しましょう。
評価を一定に保つ
適性テストを実施することで、評価を一定に保つことが可能です。
適性テストの結果に基準を設けておけば、判断に迷うことなく一定の評価ができます。
別の言い方をすれば、ボーダーラインを作ってしまうのです。
- ペーパーテスト
- Webテスト
- テストセンター受験
- インハウス(会場)受験
以上のような受験形態があるため、不正のしにくい環境で行えばより公平性を保てます。
Webテストに限り、自宅でパソコンやスマホから受験する方法のため不正が行われるリスクがありますが、それ以外は試験費や会場費はかかるものの、不正されにくい環境で適性テストを実施可能です。
テストを効果的に実施することで、人事担当者の負担を減らすことも可能でしょう。
候補者の理解を深める
候補者の理解を深めるのも、適性テストのメリットの1つです。
先述したように、候補者の様々な能力を測定するのが適性テストとなっています。そのため、募集しているポジションの業務を問題なくこなせるか、といったデータも簡単に集められます。
せっかく採用したのにもかかわらず、学歴や職歴、経験や面接の印象で入社した新入社員が早々に退職するケースがあります。採用者の適性を正しく判断していなかったからです。
候補者の理解を深め、ミスマッチを防ぐためにも適性テストを実施するようにしましょう。
辞退者の特性を分析できる
内定辞退者の特性を分析できるのも、適性テストを実施するメリットの1つです。
せっかく内定の連絡をしたのに断られた、という経験はないでしょうか?
辞退の理由は個々によって違うので一概には言えませんが、適性テストを実施することで辞退者の分析が可能です。
これは単に学力や能力だけでなく、人間性や価値観などを測定できる適性テストならではのメリットと言えるでしょう。
データが少ないうちはなかなか活用できませんが、辞退者が増えていけばいくほどその特性を分析する意味が大きくなります。
辞退者の特性を知ることで次の採用活動にも活かせるため、積極的に活用するようにしましょう。
企業が適性テストで対策できること
企業が適性テストを導入することで、入社後にも様々なメリットを得られます。
主なものとしては以下の3つが挙げられます。
- 配属時の適性判断
- チームビルティング時の参考
- 早期退職の防止
それぞれどういったものか詳しく見てみましょう。
配属時の適性判断
社員を配属する際に、能力と全く見合わない部署では戦力にはなりません。
適材適所という言葉があるように、適性を判断し配属することが何よりも大切です。
適性テストはその際の判断材料として役立ってくれるでしょう。適切に配属しなければ、最悪の場合、入社後早々に退職される可能性すらあります。適性テストを活用し、適切な配属を心がけましょう。
チームビルディング時の参考
適性テストはチームビルディングをする際にも役立ってくれます。
チームビルディングとは、各自のスキルや能力、経験を最大限に発揮し目標を達成できるチームを作り上げていくための取り組みを指します。
チームビルディングを行うことで、以下のようなメリットが得られます。
- 社会人の基本をインプットできる
- 中堅社員のリーダースキル育成
- 責任者・管理者への体制を作れる
- パフォーマンスの向上
- チームメンバーの関係強化
適性テストを行うと、各々の能力や学力はもちろん、パーソナリティまでわかるため、チームビルディングの際に有効活用できます。参考データとしては非常に優秀と言って良いでしょう。
早期離職の防止
適性テストを導入することで、早期離職を防止することも期待できます。
せっかく手間とコストをかけたのに入社してすぐに離職されてしまった、というのは人事担当者が頭を抱える問題の1つです。厚生労働省が調査した離職の理由(参考:令和2年雇用動向調査結果)では、以下のような結果となっています。
■男性の場合
- その他の理由(出向などを含む)
- 給料など収入が少なかった
- 労働時間、休日などの労働条件が悪かった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
■女性の場合
- その他の理由(出向などを含む)
- 労働時間、休日などの労働条件が悪かった
- 給料など収入が少なかった
- 職場の人間関係などが好ましくなかった
男性も女性も理由がほとんど同じですが、人間関係を除けばほとんどがミスマッチによって起こっているのがわかります。
適性テストを実施することで、こうしたミスマッチを未然に防ぎ、早期離職を予防することを期待できます。
適性テストを導入する際に意識したい対策ポイント
適性テストを導入する前に意識したいポイントがいくつかあります。
ただ実施するのでは、適性テストを最大限活用するのが非常に難しいためです。
- 導入実績・利用者数がどれくらいあるか
- 採用後の評価や配置に使えるか
- 自社が求める評価を得られるか
- 自社と似ている企業に導入事例があるか
- 自社で使える検査を追加できるか
それぞれ詳しく見てみましょう。
導入実績がどれくらいあるか
適性テストを提供している企業は30以上あります。それぞれどのような企業が導入しているのかを知ることで、選ぶ際の指標となります。
また適性テストにはコストが当然かかってくるため、導入実績と共にコスト面も検討しましょう。
1回につき1人数百円〜5,000円と金額差が大きいのが特徴です。
コストは利用者数に大きく関わってくるため、採用予算との兼ね合いで選ぶと良いですよ。
採用後の評価や配置に使えるか
採用後の評価や配置に使えるのかも、適性テストを選ぶ上で重要なポイントです。
適性テストの結果は入社前の判断で使って終わりではなく、その後も使い続けられます。
採用の可否だけに活用するのか、その後の育成でも使うのかで適性テストを選ぶ基準が大きく変わります。
選ぶ際は目的を明確に定めた後、定性テストを実施している企業の担当者と話し合って選ぶと良いでしょう。
自社が求める評価を得られるか
自社が求める評価を得られるのかも、適性テストを選ぶ上で重要なポイントです。いわゆるスクリーニングとして用いるわけです。例えば、ストレス耐性の強さを求められている職場に、ストレス耐性の弱い人を採用しても長くは続けられないでしょう。自社と求職者を正しくマッチングするために、自社が求める評価を得られる適性テストかどうかを見極める必要があるのです。
自社と似ている企業に導入事例があるか
自社と似ている企業に導入事例があるかも、適性テストを選ぶ上でポイントとなってきます。
自社と似ている企業が導入しているかどうかは、適性テストを選ぶ上で参考になるでしょう。
導入事例は適性テストのホームページに掲載されている場合が多いため、実際に確認してみましょう。
自社で使える検査を追加できるか
採用時にテストを実施するのなら、自社でも使える項目があればあるほど後で役立つのはわかるかと思います。
適性テストの中には、自社で使える検査項目を追加できるものもあります。
一般的なテスト項目だけではなく、より自社に使える人材を適性テストで見極めたいと考える場合は、選ぶポイントとして意識すると良いでしょう。
まとめ
適性テストは導入することで様々なメリットがあります。
一般的には採用時に適性テストを実施して求職者を見極める用途で使われるのが多く見られますが、採用後にも結果を役立てることが可能です。
特に部署の配属やチームビルディングの際に参考になるため、実施しておいて損は無いでしょう。
一方で適性テストは30種類以上あるため、自社に合ったテストを選ぶことが何よりも大切です。
他社の導入事例などを参考にしつつ、自社用にカスタマイズできるのかも含めて実施企業の担当者と話し合った上で導入するようにしましょう。