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「新卒社員の離職率が高くて困っている」「新卒社員が離職する原因を知りたい」
そのように考えている採用担当者は多くいます。この記事では「新卒社員が離職する原因」について解説します。
新卒社員の離職率が高い原因は、採用後のミスマッチです。採用する際に知っておきたい「離職する割合」や「離職率を下げる取り組み」を紹介しています。
最後にはミスマッチを防げる最新のアンケート情報も掲載しているので、ぜひ参考にしてください。
新卒社員が離職する割合
新卒社員が離職する割合は、実は30年ほど変わっていません。同じ水準を維持しています。厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)」からも明らかです。
まずはデータの内容を詳しく見ていきましょう。
- 新卒社員の離職率は上昇傾向
- 事業規模が大きいほど離職率が低い
- 産業が離職率に与える割合
新卒社員の離職率は上昇傾向
厚生労働省のデータによると、新卒社員の離職率は以下の数値となっています。
学歴 | 離職率 | 前年比 |
高卒 | 17.8% | +0.8% |
短大卒 | 19.2% | +0.7% |
大卒 | 12.0% | ▲0.3% |
大卒以外は数値が上がっています。大卒に関しても令和4年度が下がっていただけなので、基本的に上昇傾向がずっと続いています。新卒社員の離職率は少しずつですが毎年上がっていると考えた方が良いでしょう。
事業所規模が大きいほど離職率が低い
厚生労働省のデータによると、新卒の離職率は、事業所規模によって変動しています。
事業所規模 | 大卒 |
5人未満 | 54.1% |
5~29人 | 49.9% |
30~99人 | 40.6% |
100~499人 | 32.9% |
500~999人 | 30.7% |
1,000人以上 | 26.1% |
5人未満だと半分以上が辞めるのに比べて、1,000人以上は4人に1人と少ない傾向です。少人数であるからこその負担やストレスが根底にあると考えられます。
少人数の職場は相性が大切
新卒の離職率で大きな割合を占めているのが、少人数の職場です。少人数の職場は裁量が大きく仕事の幅が広いメリットはあるものの、以下の点で相性が強く出ます。
- 人間関係が濃密
- 一人ひとりの業務負担が大きく、激務になりやすい
- 電話対応や備品購入などの雑務が多い
- キャリアパスの選択肢がない
これらを受け入れられる人材なら、やる気を持って働ける環境です。一方で、大企業のような規模感の仕事を想定している新卒だと、相性が合いません。選考時点で理解度を深めておく必要があります。
産業が離職率に与える割合
厚生労働省のデータでは、産業による離職率も発表されています。離職率の高い産業を高卒・大卒で分けた表が以下です。
産業名 | 高卒 |
宿泊業、飲食サービス業 | 62.6% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 57.0% |
小売業 | 48.3% |
教育、学習支援業 | 48.0% |
医療、福祉 | 46.4% |
産業名 | 大卒 |
宿泊業、飲食サービス業 | 54.4% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 48.8% |
教育、学習支援業 | 46.0% |
医療、福祉 | 38.8% |
小売業 | 38.5% |
数値に差はあるものの、高卒・大卒ともに離職率の高い産業は同じです。休日・祝日対応や望まぬ残業を求められ、長期労働に繋がりやすいからでしょう。
ただし離職率が高いからといって、どの企業も離職者数が多いわけではありません。原因を究明し、対策を講じれば離職率の低下は可能です。
新卒の離職率が高くなる主な原因
新卒の離職率が高くなる原因は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 人間関係
- 仕事内容
- 待遇
人間関係が原因の場合
人間関係は、業種を問わず抱える普遍的な悩みです。離職の原因に大きく関係しています。特に以下が要因として考えられます。
- 上司や先輩、同僚とそりが合わない
- 社風が合わない
一緒に働いている人たちとの関係性が悪いと、強いストレスを感じてしまいます。
厚生労働省が公表した「令和4年 労働安全衛生調査」では、セクハラやパワハラを含む人間関係に強いストレスを感じている割合が26.2%と高い数値です。仕事の量や仕事の失敗に続き、ストレスを感じる要因の3位となっています。
仕事内容が原因の場合
仕事に何かしらの不満や危機感を見出した結果、離職するケースもあります。特に新卒社員は社会人経験が浅いため、以下を感じやすい傾向です。
- 期待と現実のギャップが大きい
- 仕事内容がきつい
- 仕事が過酷
入社説明会や面接で自社の良い部分だけを伝えていると、起こりやすいギャップです。夢を見て入社したために、実際の業務をしているとギャップを感じてしまいます。
キャリアップを目指している新卒社員だと、最初の雑務でキャリアの見通しが立たずに辞めてしまうケースもあります。一方で仕事を任せすぎると、仕事内容をきついと感じたり、過酷と感じたりして離職する場合もあるため、難しい問題です。
待遇が原因の場合
待遇も、離職の原因として高い数値を誇ります。待遇に納得できず、転職を考えてしまうのです。特に新卒は若いため、転職に成功しやすい点も背景にあります。以下の2点には注意しましょう。
- 人事評価制度
- 教育・フォロー耐性
人事評価制度が明確でないと離職に繋がります。働くモチベーションが下がり、より自分を認めてくれる企業に転職しようと考えるのです。
新卒社員の教育・フォロー体制がない状態にも注意してください。誰かに相談しやすい環境は大切です。
教育体制が整っていないと、先輩や上司の言動に対して猜疑心が生まれ、ストレスとなって離職へと繋がってしまいます。
新卒の離職率の原因は採用時に判断できる
新卒の離職率の原因は、採用時の言動が大きく影響しています。ここからは株式会社テックオーシャンが実施したアンケート結果を基に、理由の大きかった以下について解説します。
- 説明会やイベントで不評だった人事の対応
- 面接を辞退しようと決めた理由
- 内定を辞退しようと決めた理由
説明会やイベントで不評だった人事の対応
24卒の理系学生向けに実施した最新アンケートによると、行きたくないと感じた企業の特徴として以下の回答がありました。
- 企業の雰囲気が合わないと感じた(社風・社員の雰囲気)
- 担当者の態度・印象が悪い
- 職業や業務内容が希望と違った
- 働き方や制度などの条件が希望と違った
新卒社員が離職する原因と同じです。採用活動の初期から、学生とのギャップをどう埋めるかが問われています。
面接を辞退しようと決めた理由
アンケートによると、面接を受けて選考を辞退しようと思った企業の特徴は以下です。
- 面接官の態度・印象が悪い
- 企業の雰囲気が合わないと感じた
- 職種や業務内容が希望と違った
面接を受けた印象も、人間関係・待遇・仕事内容に関わるものとなっています。説明会やイベントに引き続き、面接においても重要視されている点がわかります。
内定を辞退しようと決めた理由
内定を辞退しようと決めた理由にも共通点があります。
- ワークライフバランスが取れなさそうだった
- 比較的に給与が低かった
- 相対的に条件が悪かった
- 希望する職種や仕事内容、勤務地ではなかった
内定辞退の理由も、待遇や仕事内容に関わるものばかりです。もし内定を辞退しなかったとしても、思い描いていた姿とのギャップで離職してしまいます。
新卒の離職率を下げるためにできる企業の取り組み
新卒の離職率を下げるためには、企業の取り組みが不可欠です。特に以下は効果に期待できるので、ぜひ実践しましょう。
- 採用段階からミスマッチを防ぐ
- 労働環境を改善する
- 社内コミュニケーションを活発化する
- 評価制度を見直す
- キャリア支援を含めた育成を行う
採用段階からミスマッチを防ぐ
新卒社員の離職率が高い原因は、ミスマッチにあります。採用段階からミスマッチを防げば、離職率の低下に期待できます。まずは自社にマッチする人物像を明確にし、具体的な採用基準を設けましょう。
コツは、自社のリアルな状況を面接の際に伝えることです。良い部分も悪い部分も含めて、新卒学生が想像しやすいように伝えます。
ダイレクトリクルーティングのように新卒学生と1対1でやり取りできるツールを使えば、ギャップを埋める効果に期待できます。
採用時のターゲット設定については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ確認してください。
労働環境を改善する
新卒社員の離職には、労働環境も大きく関わっています。労働環境の整備・見直しも検討しましょう。特に以下は注意してください。
- 長時間労働
- 休日出勤
- サービス残業
どれも常態化しやすい労働環境です。テレワークやフレックスタイム制の導入など、自社に合った柔軟な働き方を取り入れましょう。
ただし、時間外労働をしてでもスキルアップをしたいと考える新卒社員もいます。そうした層もいると意識した上で、臨機応変な対応が理想です。
社内コミュニケーションを活発化する
新卒社員が離職する理由として、人間関係は大きなウェイトを占めます。社内コミュニケーションを活発化させ、人間関係の活性化を図りましょう。導入しやすいのは、以下の方法です。
- 社員同士の情報交換
- 情報共有を活発化させる
- メンター制度の導入
従業員の自主性に任せすぎると、取り組みがバラバラになってしまいます。企業側からある程度の仕組みを整えておくことが大切です。
評価制度を見直す
待遇に関しては、評価制度を見直すことで改善に期待できます。近年は成果主義の考えを取り入れている企業も増えており、入社1年目から昇給・昇進させていることもあります。
評価制度を明確化して見えるようにすると、納得しやすく離職にも繋がりません。むしろキャリアプランを描きやすくなり、定着率の向上に期待できます。
キャリア支援を含めた育成を行う
新卒者が離職を考えず前向きに働くためには、キャリア支援も必要です。長期的な目線でキャリアを描けるようにしましょう。先述した評価制度以外に、以下の方法がおすすめです。
- キャリアデザイン研修
- スキルマップ
- 評価シートの活用
現在の業務がどのような成長を生み出し、どのようなキャリアに繋がるのかを明確に示しているとイメージしやすくなります。
新卒の離職率が高い原因はミスマッチにある
新卒社員が離職する原因の多くは、ミスマッチにあります。入社時の期待と現実とのギャップによって離職に繋がっています。ミスマッチは採用前にわかる部分なので、ダイレクトリクルーティングなどを活用し、お互いの認識を埋めていきましょう。
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