企業が成長していくうえで、優秀なリーダーの存在は欠かせません。しかし、少子化や雇用の流動化によって、幹部候補となる人材を確保できない企業が増えています。
そんな中、最近注目を集めているのが幹部候補の新卒採用です。総合職は現場で経験を積みながら役職を上げていくのに対し、幹部候補には最初から異なる待遇や育成環境が用意されているのが特徴です。
本記事では、幹部候補の採用方法や、適した人材の見極め方を詳しく解説します。経営人材の採用や育成にお悩みの企業さまは、ぜひご覧ください。
幹部候補とは
幹部候補とは、将来的に経営者や役員など重要なポジションに就くことを期待される人材のことです。最近では「次世代リーダー」とも呼ばれています。
経営幹部には、管理職(マネージャー)とは異なる役割や責任があるのが特徴です。管理職は与えられた目標を達成するために、現場でチームをまとめながら、業務を遂行することが仕事です。これに対し経営幹部は、企業を存続・拡大させるためのビジョンや経営戦略を立てるのが主な仕事になります。
責任の範囲も、管理職は自分の部署やプロジェクトのみですが、幹部は企業経営の全てが対象となります。
幹部候補の採用が求められる背景
近年、幹部候補の採用ニーズが高まっている背景には、深刻な後継者不足があります。帝国データバンクの調査によれば、全国・全業種の約26万6,000社のうち、約65.1%の企業が後継者不在の状態に陥っているそうです(2020年)。
また、実際に後継者不足が原因で倒産にまで至った事例が375件(2020年1〜10月期)もありました。単純計算すると、毎日1社以上が後継者不足で倒産しているということです。このような事態を避けるため、最近ではM&Aを行う企業も増えています。
参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)|帝国データバンク
幹部候補となる人材の選び方
社内公募
社内公募とは、既存社員にポストや条件を公開し、募集する方法です。既存社員なら企業の内情を把握していますし、一定の愛社精神や忠誠心を持っていることが期待できます。
また、周囲の一般社員にとっても、一緒に働いてきた仲間が幹部候補に選出されることで「この人についていこう」「自分も頑張ろう」という気持ちになりやすいのがメリットです。
中途採用
幹部候補の人選は、中途採用でも可能です。知識と経験が豊富な人材を外部から採用することで、経営力のアップが見込めます。求人広告を出すほか、ヘッドハンティングもよく行われる手法です。
中途採用した人材の場合、即戦力になることが期待できる一方で、企業風土に馴染めるか、部下がついてくるか、という課題もあります。
新卒採用
幹部候補は、新卒で採用するという方法もあります。
ひと昔前は、総合職の新卒社員=(イコール)全員が幹部候補でした。多くの人が20年、30年と1社でキャリアを積み、その中から幹部が選ばれていました。しかし、近年は終身雇用制度が崩壊しつつあり、新卒社員が全員幹部を目指して定年まで勤めるわけではありません。
そこで、幹部になる意欲や適性がある人材を幹部候補として育成する企業が増えているのです。新卒であれば、自社のカルチャーに染まりやすいのがメリットと言えます。
幹部候補の採用を成功させる3つのポイント
幹部候補の採用を成功させるためには、次の3点がポイントになります。
- 目的を明確にする
- 育成計画を立てる
- 採用基準を設定する
以下を参考に、しっかり準備して採用活動に臨みましょう。
目的を明確にする
まずは、採用の目的を明確にすることが大切です。
例えば、経営戦略を任せるのであれば、市場の分析や商品・サービスの開発が得意な人材が必要です。また、財務戦略を任せる場合には、財務・会計の知識や、リスク管理に長けた人材を採用しなければなりません。
一言で幹部候補と言ってもさまざまな役割があるので、今後の事業展開を踏まえて採用の目的を考えましょう。
育成計画を立てる
幹部候補を採用する際は、育成計画も必要です。特に新卒で採用する場合は、長期的に育成しなければなりません。計画を立てる際は、次の視点で考えると効果的です。
- 何年後に、どういう状態を目指すのか
- そのために何が必要か(研修、ジョブローテーションなど)
- 評価基準やフォロー体制はどうするのか
ゴールだけでなく、途中のステップや評価方法も具体的に設定しておきましょう。
採用基準を設定する
採用基準は、前述の採用目的をもとにして設定することが大切です。求めるスキルや人物像をできる限り具体的に設定しましょう。
採用基準が言語化できたら、人事だけでなく現在の幹部と共有することも欠かせません。関係者のコンセンサスを得ることで、組織が一丸となって幹部候補の育成に取り組めます。
幹部候補に適した人材の特徴6選
ここからは、幹部候補に適した人材の特徴について解説します。
- リーダーシップ
- アントレプレナーシップ(起業家精神)
- 課題発見力
- 目標達成力
- 論理的思考力
- ストレス耐性
全てを兼ね備えた人材となると難しいですが、重視する項目を先に決めておくと選考しやすくなります。
リーダーシップ
幹部になる人材に、リーダーシップは欠かせません。単に仕事ができるだけではなく、部下がついていきたくなるような、人間的な魅力も必要です。
リーダーの中には、カリスマ性に富む人や、チームに溶け込んでまとめるのが上手い人など、さまざまなタイプがあります。自社のカラーや状況に合わせて人選しましょう。
アントレプレナーシップ(起業家精神)
アントレプレナーシップとは、日本語で起業家精神を意味する言葉です。具体的には、新しいものを創り出すことへの情熱があること、目標のためにリスクを取る勇気があること、自分の選択に自信を持てることなどが挙げられます。
与えられた場所でリーダーシップを発揮できる人は多いですが、自ら新しい環境を切り拓いていける人は、貴重な存在と言えます。
課題発見力
経営幹部には、課題発見力も必要です。ビジネスでは、日々さまざまな問題が起きるため、素早く原因を究明し、解決していかなければなりません。
表面化した課題を解決するだけでなく、潜在的なリスクを把握してトラブルを未然に防ぐことが、企業を守ることにつながります。
目標達成力
幹部候補の人材は、目標達成力が高いことも重要です。将来的に幹部になったときには、企業として設定した目標を達成することが、社員や顧客、株主、ひいては社会に対する責任になります。
新しいことを思いついたり、企画したりするだけでなく、継続的に取り組んで実現する力も大切です。
論理的思考力
論理的思考力は、幹部にとって最も大切な能力の1つです。組織を動かすうえで、感覚や感情で「こうしたい!」と発信するだけでは誰もついてきてくれません。
市場の情報を収集・分析し、自社に何ができるのか、どうすればうまくいくのかを順序立てて組織に共有する能力が必要です。
ストレス耐性
幹部候補の人材は、ストレス耐性が高いことも大切です。幹部になると常に大きなプレッシャーがかかる中で、複雑な意思決定をしなければなりません。また、社員のように勤怠を管理されないため、長時間労働にもなりがちです。
したがって、ストレスの多い環境でも自分でうまくバランスを取り、健康管理をできることも大切な資質と言えます。
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後継者不足に悩む企業が増えるなかで、幹部候補を新卒採用することは有効な解決策と言えます。まっさらな状態で入社する新卒社員なら、自社の社風に馴染みやすいのがメリットです。採用活動をする際は、採用の目的や基準、育成計画などを明確にすることが、成功のカギになります。
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