新卒採用は、中途採用のように経歴やスキルでの評価がしにくいため、どのように人材価値を見極めれば良いのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 限られた面接の時間で、学生の人間性や将来性を見抜くことは、簡単ではありません。
応募者の人材価値を正しく見極めるためには、あらかじめ求める人物像を明確にして、採用基準を設定しておくことが有効です。 これにより、企業と学生のミスマッチを防ぎ、公平な選考ができるようになります。
本記事では、人材価値を正しく見極めるポイントや、新卒で重視したい採用基準について詳しく解説します。面接で的確な質問をするコツも紹介していますので、ぜひご覧ください。
なぜ人材価値の見極めが重要なのか
はじめに、なぜ新卒採用では人材価値の見極めが重要なのか、次の2つの視点から解説します。
- ミスマッチを防ぐため
- 公平に選考するため
ミスマッチを防ぐため
新卒採用においては、能力だけでなく価値観や人間性のマッチングも大切になります。
学生と企業の相性があるため、単純に「学業の成績が優秀な学生=自社にとって良い人材」とは限らないのが、マッチングの難しいところです。自社にとってオーバースペックな人材を採用してしまうと「やりがいが足りない」「報酬が見合わない」といった理由で早期離職につながることがあります。
ミスマッチを防ぐためには、学生の内面的な部分までしっかり見極めることが大切です。
公平に選考するため
中途社員の場合は、前職の勤務先や経験年数、収入などを確認することで、応募者の能力をある程度推測できます。しかし、新卒社員の場合は判断材料となる実績が無いため、人間性や将来性など、数値化しにくいもので評価しなければなりません。
人間性や将来性の評価は、採用担当者の好みやフィーリングに左右されやすいのが特徴です。公平に選考するためには、なぜその学生を選んだのかを客観的に説明できるよう、人材価値を見極めることが必要になります。
人材価値を正しく見極めるポイント3つ
人材価値を正しく見極めるためには、次の3つのポイントがあります。
- 求める人物像を明確にする
- 採用基準を設定し、社内で共有する
- 履歴書やESをよく読んでから面接に臨む
それぞれ詳しく見てみましょう。
求める人物像を明確にする
人材価値を見極めるために、まずは自社が求める人物像を明確にすることが大切です。
一言で「いい人材」と言っても、企業によっては「体育会系の情熱的なタイプ」を指すこともあれば、「論理的で冷静なタイプ」を指すこともあります。そのため、自社で言う「いい人材」とは具体的にどのような人物なのかを、性格や志向も含めて言語化することが有効です。
求める人物像を決める際には、経営方針や事業計画、現場の声なども参考にしましょう。
採用基準を設定し、社内で共有する
人材価値を適切に評価するためには、採用基準を設定することが欠かせません。採用基準とは「コミュニケーション力」や「主体性」など、応募者を評価する項目のことを言います。
例えば「コミュニケーション力」を5段階で評価する場合、「4」とは上位何%の人を表すのか、また「5」や「3」との違いは何なのか、といった細かいことまで設定します。また、各項目の合計点が同じだった場合は、どの項目を重視するのかを決めておくことも大切です。
採用基準が設定できたら、人事だけでなく役員や現場社員とも共有しておきましょう。考課者研修のように、誰か1人をモデルにして評価し、評点をすり合わせておくのもおすすめです。
履歴書やESをよく読んでから面接に臨む
面接の限られた時間で人材価値を見極めるためには、事前に履歴書やESをよく読んでおくことも大切です。
応募者が多い企業では、1日に何人もの面接をしなければならないため、履歴書やESに目を通さずに面接に入る担当者もいるのではないでしょうか。しかし、その場で初めて見る応募書類をもとに、本質に迫る質問を投げかけるのは非常に困難です。
あらかじめ書類をしっかり読み込むことで「このときなぜこういう行動をしたのだろう」「ここは矛盾するのではないか」のように、深掘りすべきポイントが見えてくるため、人材価値を見極めやすくなります。
新卒採用で重視したい採用基準5選
ここからは、新卒採用で重視したい5つの採用基準について、詳しく解説します。
- コミュニケーション力
- 主体性
- 熱意
- 価値観
- ストレス耐性
いずれの項目も、面接では応募者が自由に答えられる「オープンクエスチョン」で質問するのがおすすめです。回答が「はい・いいえ」の二択になる「クローズドクエスチョン」に比べて、より具体的なエピソードを引き出しやすくなります。
コミュニケーション力
コミュニケーション力は、業界や職種を問わず必要になる能力です。コミュニケーション力には、大きく分けて「聞く力」と「伝える力」の2つがあります。
「聞く力」とは、相手の話をよく聞いて理解し、受け入れる能力のことです。必要に応じて相づちを打ったり、質問をしたりすることも含まれます。また「伝える力」は、自分の考えを言語化して発信する能力を指します。相手の立場や理解力に合わせて、伝え方を変えられることも大切です。
主体性
社会で活躍するためには、上司からの指示を待つのではなく、自分で考えて行動する力も必要です。自ら課題を発見し、どうすれば解決できるかを考えて行動できる人材は、将来的に組織のリーダーになることも期待できます。
熱意
仕事に対する熱意があるかどうかも、人材価値を見極める重要なポイントです。モチベーションが高い人は、早く成長することが期待できます。
ただし、最近の若手社員はワークライフバランスを重視する傾向があるため「時間外労働を嫌がらないか」や「プライベートよりも仕事を優先できるか」で熱意を測るのは良くありません。あくまで仕事そのものに対する意欲で評価しましょう。
価値観
新卒採用では、企業の価値観と学生の価値観が一致することも大切です。
どれほど能力の高い人材でも、組織が目指す方向性と違っていると、成果が出にくくなってしまいます。一方で、企業理念やビジョンに共感してくれる人材であれば、入社後のミスマッチが起きにくく、既存社員にも馴染みやすいのがメリットです。
ストレス耐性
社会に出ると、日々さまざまなストレスやプレッシャーにさらされるため、ストレス耐性があることも大事なポイントです。
困難な状況でも冷静に対処できる、1人で抱え込まない、オンとオフをうまく切り替えてリフレッシュできる、といった特徴のある人は、長期的に活躍できる可能性が高いです。
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新卒採用はポテンシャルが重視されるため、採用基準を設定し、人材価値をしっかり見極めることが大切です。面接の時間は限られていますが、応募書類にしっかり目を通して、深掘りしたいポイントを決めてから臨みましょう。
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