学生の企業選びのポイントとして上位にランクインする「待遇・福利厚生」。
しかし、会社全体の制度に関わるうえにコストもかかる待遇や福利厚生を改善するのは容易ではありません。
本記事では、導入必須の待遇や、低コストかつ効果的な福利厚生について解説しています。会社のイメージアップを図るうえで、是非参考にしてください。
福利厚生とは
そもそも福利厚生とは?目的は?
福利厚生とは、企業が労働力の確保 ・ 定着、勤労意欲 ・能率の向上などの効果を期待して、従業員とその家族に対して提供する各種の施策・制度のことです。
主に従業員の生活向上を支援することを目的として実施され、法律で義務づけられた法定福利と、企業が任意で実施する法定外福利があります。
- 法定福利:社会保険等法律で負担が義務付けられているもの
健康保険料 / 厚生年金保険料 / 介護保険料 / 雇用保険料 / 労災保険料 / 子供・子育て拠出金 など
- 法定外福利:会社が独自で定めるもの(会社によって異なる)
住宅手当(家賃補助) / 通勤手当(交通費) / 家族手当 / 健康診断補助 / 社員食堂 /社員専用施設 など
このように、法律で義務化されていないものも含めて福利厚生を整えることで「従業員を大切にする」会社側の姿勢が伝わり、従業員の働くモチベーションにつながります。
また企業の社会的信頼を高めるといった会社のイメージアップにもつながるため、こうした要素は、採用においては企業を知るきっかけにもなり、人材の確保に役立ちます。
学生が企業に求める待遇・福利厚生
就職先を決める上で重視したい要素
参考:株式会社テックオーシャン「TECH OFFER」登録25卒学生アンケート(12月実施)
このように、待遇と福利厚生は学生が企業を選ぶポイントとして1位2位を占めるほど重要な要素とされています。
また、待遇はその企業の性格を表します。待遇や福利厚生がしっかりと整備されていれば、会社が従業員を丁寧に扱っている証にもなりますし、反対に待遇がはっきりと明記されていない、曖昧な表現が使われている場合は学生からの印象は下がってしまうでしょう。
近年は多様性への理解や配慮が当たり前になりつつあります。学生にとって待遇や福利厚生とは、そういった項目に対する企業の価値観を知る要素にもなります。
学生が企業に求める「待遇」
近年は安定よりも自己成長が望める環境や裁量の大きさを重視するキャリア志向の学生が増えており、それに伴って自分の実績や働きぶりに対する正当な評価として高い給与を求める学生も増えています。そのため、初任給引き上げに踏み込む企業が増加傾向にあります。
【詳しくはこちら:『新卒の初任給を引き上げる企業が急増!理由と人材確保の手法を解説』】
しかし給与は、新卒社員に限らず会社に属する全ての社員に影響を与えるとても繊細な要素です。学生が重視しているからといって簡単に引き上げられるものではありません。
では、学生のニーズに応えるためにはどうすればいいのでしょうか。
「学生の興味を引く」「学生に好印象を与える」目的であれば、給与でなくてもアプローチは可能です。その一つとして福利厚生が挙げられます。特に休暇や諸手当は学生が重視するポイントの一つであり、福利厚生の見直しは地方・遠方の学生からの応募促進にもつながります。
(福利厚生以外のアプローチ方法については上記リンクの記事に詳細が載っているので、気になる方はそちらも併せてご覧ください。)
おすすめの福利厚生
時代に即した福利厚生
多様化の傾向が強まる中で、多くの企業が導入している福利厚生は主に以下の3つです。
出産/育児/介護休暇 | 出産や育児、介護に専念するための休暇 |
子育て/介護支援制度 | 社内託児所の設置や介護支援サービスなど社員が仕事に専念できるように整備された福祉制度 |
リモートワーク/フレックスタイム制 | 勤務場所や勤務時間を固定せず、オフィスや自宅で好きな時間に働くことができる制度 |
参考:
近年はこれらの制度が導入されている前提で就職活動をしている学生がほとんどです。
そのため、制度の面で学生からの関心を逃さないためにも最低限整えておくことが重要です。また、上記以外にも服装の自由など、多様性に配慮した制度を導入することで、企業の価値観や社風を伝えることが可能です。
人気の福利厚生
この中でも特に住宅手当や交通費については、就職を機に一人暮らしを始める人が多いため、導入されているのか・どれだけ適用されるのか(例:オフィスから◯㎞圏内)などを注視している学生は非常に多いです。
また利便性のほかにも、資格取得支援や書籍購入、研修・教育補助などの社員のスキルアップや成長をサポートする自己啓発系の制度も人気です。前述したように近年はキャリア志向の学生が増えてきているため、そのような学生に対して待遇(給与)でのアプローチが難しい場合は、キャリアアップにつながるような環境を整えることも有効です。また、こうした制度による社員の能力向上やモチベーションの向上は、業務効率の上昇にも寄与するため、会社の利益にも繋がります。
就活生の動向に合わせて導入が進んでいる待遇・福利厚生
コロナ以降、企業の安定性よりも自身の安定性(経験値や能力の向上)を重視する学生が増えています。そのため、近年は学生自身の成長意欲が強く、転職を視野に入れて就職活動をする傾向が強まっています。
こうした中、導入が促進されているのが「キャリアチェンジ(ジョブチェンジ)制度」、いわゆる社内転職制度です。これは社内やグループ企業内で部署や職種の異動を可能にするという制度で、転職や自己成長志向の強い学生に対してキャリアの実現をサポートします。
また副業制度を導入する企業も増加傾向にあり、従来の就社主義から一変、柔軟な価値観に対応した制度を打ち出す企業が増えてきています。こうした企業の柔軟性は、学生が企業を見極める際の重要なポイントになります。
【おまけ】福利厚生に関する面白い事例4選
【1.株式会社ジークレスト:推しメン休暇】
推しメン休暇とは、推しメンバーの記念日の休暇取得を認めるという制度で、活動費として会社から上限5,000円の補助金が支給されるため、社員は推しメンの生誕祭やライブに参加することが可能です。
これは、ゲーム・エンタメコンテンツを制作する企業ならではの福利厚生です。
【2.株式会社ポニーキャニオン:デジタルサービス利用手当】
この福利厚生ではデジタルサービスへの理解促進のため、動画配信サービスなどのサブスクの利用料金や電子書籍などの購入費を毎月3,000円まで会社が負担します。
【3.株式会社OKUTA:パワーナップ制度】
パワーナップ制度とは、お昼休憩とは別に20分程度のお昼寝休憩を推奨する制度です。
こうした短時間の仮眠は疲労回復や集中力アップ等の効果があり、生産性の向上が期待できるほか、従業員からも高評価の複利厚生です。
参考:株式会社EXNESS それ本当?企業が実施するユニークで面白い福利厚生・社内制度50選
【4.クックパッド株式会社:まかない】
「まかない」とは、社内に設置された従業員が自由に利用できるキッチンで、会社が用意した食材を自由に使って料理ができる制度です。
このように、ただ食事を楽しむのではなく、従業員同士で料理をすることで社内コミュニケーションの活性化を図る狙いがあります。
まとめ
待遇や福利厚生とは、採用率の上昇に直接的につながる要素ではありません。
しかし、企業の認知度向上やエントリー数の増加(=母集団形成)などには十分効果が期待できる要素です。例えば、就活初期の学生にとっては企業を知る入口になり、就活後期の学生にとっては企業を選択する際の判断材料になります。
採用活動において、企業を知ってもらうために広告活動に力を入れることももちろん大切ですが、学生が企業のどこを見ているのか、他社との差別化を図るためにはどうすればいいのか、そんな風に悩んでいる企業様は福利厚生を見直してみるのも一つの手かもしれません。
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