Contents
年々売り手市場が深刻化する採用市場では、攻めの採用としてスカウト型サービスを導入する企業が増えています。
一方で、スカウト型サービスは運用が難しく、採用担当者からは「もっと有効活用したい」という声をよくお聞きします。
本記事では、スカウトメールの基本的な作成方法から成功のコツについてご紹介します。実際の例文を用いたポイントも解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。
スカウトメールとは

スカウトメールとは企業が特定の候補者に対して直接メッセージを送り、選考やイベントへの応募を促す採用手法です。
この手法は、従来のナビサイトや求人広告に代表される「待ちの採用」とは異なり、企業が欲しい人材へ積極的にアプローチする「攻めの採用」ともいわれています。
スカウトメールが注目される背景
スカウトメールが注目される主な背景として、採用市場の現状が関係しています。
少子高齢化に伴う労働力人口の減少から、若年層を中心とする人材が不足し、年々採用が難化しています。
特に高度なスキルを持つ優秀な人材は企業間での争奪となるため、企業は必然的に攻めのアプローチが求められます。
スカウトメールは、企業側から求職者にアプローチできるだけでなく、認知度に左右されにくいことからも、中小企業から大手企業まで幅広い企業で導入され始めています。
スカウトメールの種類

スカウトメールには、大きく2つの種類があります。
▶オープンオファー(自動オファー)
ある程度の条件で絞り込んだ複数の対象者へ一斉に送信するスカウトメールです。一度に多くのスカウトメールを送付できるためそれだけ多くの人材との接点が持てます。
自社の訴求点をまとめたテンプレートを作っておけば、いちから文面を作成する手間がないため、工数を最低限に留められる点もメリットです。しかし、パーソナライズされた内容ではないことから、反応率が比較的低くなりやすい点はデメリットとなります。
また、一部のオファー型サービスにはこの一斉送信の機能自体がないサービスもあります。
▶パーソナルオファー(個別オファー)
特定の求職者へ個別に送信するスカウトメールです。自社が求める人材像や条件に合致する対象者に送るため、狙った人材にピンポイントでアプローチすることが可能です。
求職者ごとにメールを作成する手間はかかるものの、相手のニーズに合わせた自社の魅力を訴求することで、採用成功の可能性が格段に高まります。
スカウトメールの書き方4ステップ

ここからは、実際にスカウトメールを書く際のステップを紹介します。
具体的なステップは以下の通りです。
1.目的を明確にする
2.ターゲット像を明確にする
3.ターゲットに刺さる自社の訴求ポイントを整理する
4.メール本文を書く
1.目的を明確にする
まず、どのような目的を持ってスカウトを送るのかを明確にしましょう。
あらかじめ目的を見出すことで、運用におけるリソースの浪費を防止し、効率的な方法で目標達成に向けた活動を行うことができます。
また、チームメンバーや関係者への動機づけの強化になったり、その成果を具体的に測定することも可能です。
2.ターゲット像を明確にする
目的を定めた後は、「誰に」送るのかを考える必要があります。曖昧なままスカウトメールを送っても、自社の求める人材とマッチできません。
ターゲット像を見出す上で重要となるのが、「ペルソナ」の設定です。ペルソナとは、ターゲットの属性・ニーズ・行動特性などを具体化させたものです。
求める人材の条件を基に、ターゲットとして狙う対象の特徴を考えます。ここでポイントとなるのが現場部署と連携しながら設計することです。
実際の業務で必要とされるスキルや経験を把握した上で設計すれば、採用後のミスマッチを減らすことができるからです。
ペルソナ設計に関してさらに知りたい方はこちら

3.ターゲットに刺さる自社の訴求ポイントを整理する
一方的に自社が伝えたい内容を書いても、必ずしもターゲットに刺さるとは限りません。求職者によってニーズは異なるため、訴求する内容も各ターゲットに合わせた内容を用意する必要があります。
相手がどのようなニーズを持ち、そして自社とどうマッチしているのかを都度考えましょう。
刺さりやすい訴求ポイントをスカウトメールに盛り込むことで、興味を引き付けるだけでなく、競合他社にはない自社の魅力を際立たせることも可能です。
4.メール本文を書く
自社のアピールポイントを整理した後は、実際にメール本文を書いていきます。
冒頭では自己紹介を交えつつ、相手の名前や経歴に簡単に触れましょう。信頼感を向上させるだけでなく、個別にカスタマイズされたメッセージであるという印象を与えられます。
その後、相手の興味を引くような魅力訴求や情報提供をし、最後は次に取ってほしい具体的なアクションを提示します。
例えば、面談や説明会イベントの紹介・応募方法を記載することで、相手が返信しやすくします。
メールの結びはフレンドリーな文章を取り入れ、親しみやすい印象で締めましょう。
成功するスカウトメールのコツ

自社に最適な人材と出会うためには、効果的なスカウトメールを送ることが不可欠です。ここでは、スカウトメールを成功に導くためのコツやテクニックをご紹介します。
件名を工夫する
スカウトメールの開封率は、「件名」によって左右されるといっても過言ではないでしょう。
近年ではスカウトメールを運用する企業が増加傾向にあることを背景に、求職者に届くメールの数も増加傾向にあります。数あるメールの中に埋もれないようにするためには、「件名」の工夫が重要です。
相手が思わず開封したくなるようなキーワードや表現、カギ括弧による強調などの工夫がポイントです。
また、長すぎても読まれにくいだけでなく、場合によっては見切れてしまう恐れがあるため、簡潔さも意識しましょう。
時間帯を考慮する
スカウトメールは中身そのものも重要ですが、相手に送る時間帯によっても開封率や返信率は変動します。
以下は、あるスカウトサービスにおける4,500件の返信率を時間帯ごとにグラフ化したものです。

通勤・通学時間やお昼の休憩時間にピークを迎え、その後は帰宅時間を迎えると再び返信率が高まっていることが分かります。
上記のような時間帯にスカウトメールを送ることで、チェックしてもらえる可能性は高まるでしょう。
一方で、早朝や深夜の時間帯は避けましょう。
仮に手動ではなく時間指定の配信設定をしていたとしても「マナーに反する」「ブラック企業」といったマイナスな印象を求職者に与える恐れがあります。
特典をつける
特典があると、「開封するメリットがある」「特別感がある」と感じやすいため、開封率の向上につながります。
限定イベントへの招待券や特別選考への参加権といった優遇措置を提示することで、他のスカウトメールとの差別化を図ることもできます。
また、自身に対して企業側が価値提供しようとしていることが伝わり、求職者との関係構築が円滑になりやすいでしょう。
パーソナライズした本文を書く
個別にカスタマイズされた文面は、「自分に寄り添ってくれる・理解しようとしてくれる企業」という好意的な印象を与えることにつながります。
一般的なテンプレート文章の場合、求職者の興味関心を引けず、反応を得ることが困難です。
相手のニーズや関心に合わせたメッセージを書くことで、より効果的なコミュニケーションの実現や自社に対する志望度の向上を目指しましょう。
スカウトメールの例文と解説

ここでは、一般的に「悪い」「良い」とされるスカウトメールの例文から、様々なシチュエーションに応じたスカウトメールの例文までを紹介します。実際に使える具体的な表現や構成を学び、受信者の心をつかむスカウトメールを作成しましょう。
“悪い”スカウトメールの例文
一般的に「悪い」とされるスカウトメールは個別対応の感に欠け、押し付けがましさや無礼な印象によって求職者に不快感を抱かせてしまうものです。
主な特徴は以下です。
“悪い”スカウトメール
- 露骨な定型文
- 情報の提供不足/過多
- 過度な宣伝
- 冗長な表現
- 誤字脱字
では、実際に例文形式で紹介します。
▶件名
残業少なめ!ノルマ無しの〇〇職求人のお知らせ
▶本文
当社は現在、成長中の企業であり、多くの新しいプロジェクトに取り組んでいます。業界のリーダーとして、最新の技術と最高のサービスを提供することに誇りを持っています。
今回、当社では新しいポジションを募集しており、優秀な人材を探しています。このポジションでは、当社の成長戦略に参加し、重要な役割を果たすことが期待されます。応募することで、当社の一員として活躍するチャンスを得ることができます。
また、平均を上回る給与と質の高い福利厚生を提供しており、素晴らしいキャリアパスも提供しています。詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。
よろしくお願いします。
株式会社〇〇
▶▶BADポイント解説
- ありきたりな件名
- 本文全体の情報量が多く、何を伝えたいのかが不明瞭
- 一方的に企業側の魅力のみをアピールし、押し付けがましい
- ウェブサイトのURL記載や送り主側の情報が無く、求職者への配慮に欠ける
“良い”スカウトメールの例文
一方で「良い」とされるスカウトメールは求職者の関心を引き、積極的な反応を得ることができます。
主な特徴は以下です。
“良い”スカウトメール
- 個別にカスタマイズされた文面
- 丁寧かつ親しみやすい言葉遣い
- 適切な本文全体の長さ
- 求職者の条件やニーズとマッチ
- 次のアクションの明確な提示
では、実際に例文形式で紹介します。
▶件名
【広報経験のある〇〇様へ】大好評の限定イベントへ無料招待!
▶本文
〇〇様
初めまして! 株式会社△△の広報部門担当の◇◇と申します。
プロフィールを拝見し、特に〇〇様の広報経験と実績に深く感銘を受けました。そのスキルが当社の広報戦略に非常に有益であると感じ、このメールをお送りしました。
現在、当社では広報部門の強化と新たな取り組みを推進するために、特別な限定イベントを開催しております。このイベントでは、業界の最新トレンドや成功事例の共有、ネットワーキングの機会を提供します。〇〇様のような広報の知見をお持ちの方にぜひご参加いただき、当社の新しいビジョンやプロジェクトについて意見交換できればと考えています。
ぜひ一度、お話しする機会をいただけないでしょうか? イベントの詳細に限らずどんなご質問にも喜んでお答えいたしますので、まずはお気軽にご返信いただけますと幸いです。
株式会社△△ 広報部門担当 ◇◇
連絡先: abc@xyz.com 電話番号: 000-000-0000
▶▶GOODポイント解説
- 件名と本文にて求職者を名前呼びすることで定型文ではないことを強調
- 求職者のプロフィール情報(強み)と絡めた自社の訴求文
- 簡潔な本文内容と長さにより、通読率や可読性が向上
- 信頼性を高めるために、送り主の情報を末尾に記載
職種別スカウトメールの例文
特定の職種や部署での採用を目的に、スカウトメールを送りたいという方も多いのではないでしょうか。
求職者側としても明確なキャリアパスを提示してもらえることで、自身のキャリアビジョンを描きやすくなります。
では、実際に例文形式で紹介します。
▶件名
【月給40万円以上を保証】急成長ベンチャー企業でITエンジニアとして活躍しませんか?
▶本文
こんにちは〇〇さん、
株式会社△△の人事部でリクルーターを務めております、◇◇ と申します。あなたのプロフィールを拝見し、非常に優れたスキルセットと経験をお持ちであると感じました。
現在、当社ではエンジニアリングチームの強化を図っており、特に〇〇さんのようなプログラミングの知見や運用経験を持つ方を探しております。〇〇さんが手がけたクラウドインフラ構築についての詳細を拝見し、大変興味を持ちました。
当社は、最先端技術の開発や革新的なインフラの提供に力を入れており、〇〇さんの経験と技術が大いに活かされる環境を提供できると確信しております。例えば、認定資格取得支援や社内開催のハッカソンなどがあり、エンジニアとしてさらなる成長を遂げる機会をご用意しております。
是非、一度お話しさせていただき、当社のビジョンや〇〇さんのキャリアについて共有できればと考えております。ご都合の良い日程をお知らせいただけると幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
株式会社△△ 氏名:◇◇ abc@xyz.com
▶▶GOODポイント解説
- 件名で給与水準を記載することで、開封率向上に寄与
- 採用職種を明確に提示し、採用後のミスマッチを防止
- 次のアクションを起こしやすいように誘導
新卒採用スカウトメールの例文
近年では採用側だけでなく、学生側においてもスカウトメールが普及しています。数あるスカウトメールに埋もれないようにするためには、件名・文面の工夫やカスタマイズが不可欠です。
では、実際に例文形式で紹介します。
▶件名
【早期内定獲得可能】一次面接免除の特別オファー
▶本文
突然のご連絡失礼いたします。私は、株式会社△△の新卒採用担当◇◇と申します。
このたび、〇〇様の研究内容や専門分野での取り組みを拝見し、その高い専門性と探求心に大変感銘を受け、ぜひ弊社でご活躍いただきたいと思い、特別にご連絡致しました。
弊社は、AI技術を活用したシステム開発に取り組み、業界の課題解決に挑戦しています]。特に、〇〇様が研究されているデータサイエンスの知識やスキルは、弊社が取り組むAセキュリティ侵害検出システム開発プロジェクトにおいて、大きな価値をもたらしていただけると確信しております。
つきましては、特別な選考フローとして、〇〇様には通常の一次面接を免除し、二次面接からご参加いただける「特別選考パス」をご用意いたしました。
ご興味をお持ちいただけましたら、以下のリンクから面談希望日程をご登録ください。
*面談予約リンク:『リンクを挿入』
弊社のプロジェクトや環境についてざっくばらんにお話しできるカジュアルな場となりますので、ぜひお気軽にご参加ください。
〇〇様のこれまでの研究で培われた知見が、私たちの未来を共に創る力になることを心より楽しみにしております。
株式会社△△ 新卒採用担当◇◇ 電話00-0000-0000
*公式HP:『https://www.abc』
▶▶GOODポイント解説
- 件名に特典内容を示すことで、応募メリットを提示
- 求職者の専門性と関連づけた訴求をすることで、興味関心の引き付け
- 末尾に自社のHPへの導線を貼り、正確な企業情報を提供
まとめ

スカウトメールは候補者との接点を生み出すだけでなく、自社の魅力を伝え、関係性を構築していくための重要なコミュニケーション手段です。
本記事で解説した基本的な書き方、コツや実際の例文を参考に、質を高めていきましょう。
求職者の関心を引き、採用成功へとつなげられるよう、ぜひ今後の採用活動にお役立てください。
理系新卒に特化したスカウトサービスなら『TECH OFFER』
スカウトメールには多種多様なサービスがありますが、理系新卒採用であれば、『TECH OFFER』がおススメです。
近年競争率の高まる理系学生に特化したツールであるだけでなく、自動スカウト機能が搭載されているため、工数を削減しながら運用することが可能です。
スカウトサービスによる理系新卒採用をご検討の方は、ぜひ1度お気軽にご相談ください。