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大学生の就活は年々早期化・長期化しています。実際に、企業の中には1・2年生を対象としたインターンシップを実施するところもあり「大学は教育機関というより就活のための予備校になってしまった」という声も聞かれます。
確かに、学生にとって学業と就活の両立は難しい問題です。一方で、大学側も学生の就活支援には力を入れるところが増えているため、企業にとってはチャンスになることもあります。
本記事では、大学生の就活に対する意識や、企業が大学と関係性を構築するメリットについて詳しく解説します。さまざまな調査結果も紹介しますので、ぜひ採用活動の参考にしてください。
学生の進学・就職に対する意識調査
上記は、株式会社ディスコが、18卒の学生761人にアンケートを実施した結果です。「入学した大学・学部・学科の志望理由」を尋ねたところ「就職率・就職先」は6位にランクインしました。次の質問で「将来のキャリアや就職を意識して選んだか」と尋ねたところ、「とても意識した」と「やや意識した」と回答した人の割合が、あわせて54.8%に上りました。
さらに、下記は就職先企業の業種や職種が専攻分野と関連があるかを尋ねた結果です。
理系学生に限って見ると、「関連がある」と「少しはある」と答えた人の割合は8割を超えました。
以上のことから、学生は大学を選ぶ時点ですでに就職のことを意識しており、その後、理系学生の8割以上が専攻分野と関連性のある仕事に就いていることが分かりました。
大学生活における就活期間は長期化している
大学は高等教育の場なので、本来であれば就職に関係なく、純粋に興味のある学問を追求できるのが理想です。「在学中に学問よりも就活が忙しいなんて、大学が「就活予備校化」しているのではないか」という批判的な意見があるのも分かります。
ただ、そうは言っても企業側の採用活動が早期化・長期化が加速しているのが現実です。以下は、標準的な就活スケジュールです。
<標準的な就活スケジュール>
- 大学3年生6月~インターンシップのエントリー
- 大学3年生7月~インターンシップ参加
- 大学4年生3月~企業説明会、エントリー
- 大学4年生6月~選考開始
- 大学4年生6月~内々定
- 大学4年生10月~内定
最近は、大学1・2年生を対象としたインターンシップを開催する企業も増えてきました。外資系企業やベンチャー企業では、就活の解禁日に関係なく通年採用を実施しているところもあります。企業側の動きがこのようなものである限り、学生も対応せざるを得ない状況だと言えます。
大学のキャリアセンターが存在感を増している
大学生活における就活の重要度の高まりとともに、大学のキャリアセンターも存在感を増しています。以前は「就職課」や「就職相談室」と呼ばれていましたが、20年ほど前から「キャリアセンター」と呼ぶ大学が増えてきました。
最近では大学側も学校の魅力として、就職率や就活支援の手厚さをアピールしています。多くの大学が、キャリアコンサルタント(国家資格)のような専門資格を持つスタッフを常駐させるなど、就職支援に力を入れています。ここでは、キャリアセンターについて詳しく見てみましょう。
- キャリアセンターの役割
- キャリアセンターの利用状況
キャリアセンターの役割
キャリアセンターの役割には、次のようなものがあります。
- キャリアや就職に関する相談
- 求人やインターンシップに関する情報提供
- 就活ガイダンスの開催
- 選考対策(書類の添削、模擬面接など)
- OB・OGの情報提供
- 企業に対する広報活動
キャリアセンターでは、就活の準備から求人の紹介、選考対策まで、就活をトータルでサポートしているのが特徴です。
企業の採用担当者が特に押さえておきたいのは、「キャリアセンターは厚生労働大臣に届け出ることで、無料の職業紹介事業を行える」という点です。自社の説明会やインターンシップの情報、求人票などを渡しておくと、条件が合う学生とマッチングしてもらえます。
キャリアセンターの利用状況
引用:2022年卒就職活動調査、大学のキャリアセンターを利用したことがある学生は5割以上―学情|HRzine
実際に、学生はどの程度キャリアセンターを利用しているのでしょうか。上記は、学情が22卒の学生549名に、キャリアセンターの利用状況を調査した結果です。「大学のキャリアセンターを利用したことはありますか」と尋ねたところ、「利用したことがある」と答えた人は55.0%に上りました。
また、キャリアセンターを利用した目的については、以下のような結果になりました。
<キャリアセンターを利用した目的(複数回答可) ※抜粋>
- 就職活動の相談(49.0%)
- インターンシップ情報の収集(42.7%)
- エントリーシートの添削(27.2%)
- ガイダンスなどの情報を得るため(20.9%)
- 学内合説など就活準備に関するイベント情報の収集(16.9%)
最近はwebサイトやスマホアプリなど、さまざまな就活支援サービスが登場していますが、それでも昔ながらの大学のキャリアセンターには一定の需要があることが分かります。
今こそ企業は大学との関係性を強化すべき
大学は、キャリアセンターをはじめ学生の就活に深く関わっています。そのため、新卒人材の獲得競争が激化している今こそ、企業は大学との関係性を強化すべきです。ここからは、企業が大学との関係を構築するメリットについて解説します。
- 自社の専門分野にマッチした学生を採用できる
- 採用コストを削減できる
- 持続的な採用ルートを確保できる
◆大学訪問・研究室訪問について詳しく知りたい方はこちら
自社の専門分野にマッチした学生を採用できる
自社の専門分野に関連する学部や研究室にアプローチすれば、専門知識を持つ学生に出会える可能性が高まります。本記事で紹介した調査結果でも、理系学生の8割以上が大学の専攻分野と関係する職に就いていました。つまり、専攻分野と関連する求人には興味を持ってもらえるということです。
専門分野に関連する学部の学生を採用すれば、基礎知識がすでに身に付いており、業務もイメージしやすいため、ミスマッチが起きにくいこともメリットです。ナビサイトのように、幅広い属性の学生に対して仕事内容を説明し、適性を見極めるよりも、はるかに効率の良い採用活動ができます。
採用コストを削減できる
大学や研究室との関係性を築けば、採用コストを削減できることもメリットです。
ナビサイトへの広告掲載や就活イベントへの出展、人材紹介などには、1回数十万〜数百万円のコストがかかります。しかも、どのような質の学生が集まるかは、やってみなければ分かりません。
一方で、大学訪問にかかるコストは、担当者の交通費・宿泊費と会社パンフレットぐらいのものです。これだけで、一定の専門知識と素養を持った学生と出会える可能性があるのなら、試してみる価値があるのではないでしょうか。
ただし、大学訪問は1度きりではあまり効果がありません。定期的に訪問して、自社のインターンシップや説明会の情報を伝えるなど、継続することが大切です。
持続的な採用ルートを確保できる
大学との関係性を強化すれば、持続的な採用ルートを確保できます。
一度採用実績ができると、研究室やOB・OGからの紹介を期待できるためです。OB・OGがいる企業なら、大学側は安心して紹介でき、学生も親近感を持ちやすくなります。大学にとっても就職率を上げることになり、win-winの関係を実現できます。
さらに、うまくいけば大学が主催する学内の就活セミナーに出展できることもあります。学内セミナーは企業にとって絶好のチャンスですが、その分参加を希望する企業も多いのが特徴です。毎年決まった企業が優先的に招かれるケースが多いため、大学との関係性を強化することで、参加できる可能性が高まります。
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就活が早期化・長期化している中で、大学も学生の就活支援には力を入れています。キャリアセンターの相談窓口やセミナーを利用する学生が増えているのが現状です。
新卒の採用活動に苦戦している方は、ナビサイトや人材紹介の利用だけでなく、大学や研究室にもアプローチしてみてはいかがでしょうか。理系学生の採用にお悩みの方には、ダイレクトリクルーティングの『TECH OFFER』がおすすめです。4万件の研究室データや100万件の技術キーワードで、効率よく自社に合った学生に出会えます。
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