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働き方改革が叫ばれる中、就活生においても就職先の労働環境を重視する人が増えています。残業の抑制やテレワークの導入は進んできましたが、週休3日制を取り入れている企業はまだまだ少数派です。
皆さんの中には「週休3日制にしたら、応募者が増えるだろうか」と気になる方もいらっしゃるかと思います。人材サービス大手マイナビの調査では「週休3日制の企業に就職してみたい」と答えた学生は63.0%に上ることが分かりました。
本記事では、週休3日制に対する学生の反応やメリット・デメリット、導入のポイントについて詳しく解説します。働き方改革によって他社との差別化を図りたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも週休3日制とは
週休3日制とは、文字通り1週間の休日を3日間とする働き方のことです。現在は多くの企業が週休2日制(または完全週休2日制)をとっていますが、休みを増やそうという動きが注目を集めています。
ここでは、週休3日制の3つのタイプや、注目されている背景、導入状況について解説します。
週休3日制の3つのタイプ
週休3日制は、労働時間と給与の取り扱いによって3つのタイプに分けられます。具体的なタイプと特徴は、以下の通りです。
- 総労働時間維持型
週の労働時間はそのままで、給与もそのまま
例:8時間×週5日勤務 → 10時間×週4日勤務 - 給与減額型
週の労働時間が減り、給与も減る
例:週40時間で月給30万円 → 週32時間で月給24万円 - 給与維持型
週の労働時間は減るが、給与はそのまま
例:週40時間で月給30万円 → 週32時間で月給30万円
この3つのタイプを比べると、労働者目線で一番嬉しいのは「給与維持型」です。ただ、企業が給与を支払うためには売上が必要で、労働時間を減らしながら今の売上を維持するのは、かなり難しい挑戦になります。そのため、現実的に考えると「総労働時間維持型」か「給与減額型」が導入しやすいと言えます。
注目される背景
週休3日制が注目される背景には、大きく2つの理由があります。
1つめは、コロナ禍をきっかけに世界的にDX化が進み、働き方が変わったことです。これまでのように「みんなが同じ時間に同じ場所で働き、残業や休日出勤でプライベートを犠牲にする」という生活に疑問を感じ、ワークライフバランスを見直す人が増えました。
2つめは、2021年6月に閣議決定された政府の「骨太の方針」に、選択的週休3日制が盛り込まれたことです。この方針では、多様な働き方の実現やリカレント教育(=社会人の学び直し)、副業・兼業などを推進するための手段として、週休3日制が取り上げられています。
日本は諸外国に比べて、デジタル化で遅れをとっているのが現状です。週休を増やすことで、働きながら学んだり、副業や兼業で能力を開発したりして、日本経済を立て直そうとしています。
導入状況
東京都の「中小企業労働条件等実態調査」によれば、週休3日制がすでに導入されている企業は3%でした。この調査は中小企業を対象としているため、大企業を含めるともう少し高くなるかもしれませんが、まだまだ少数派であることは間違いありません。
同調査では、各社の従業員に「今後導入してほしい働き方」も調査しています。その結果、フレックスタイム制やサテライトオフィスなどの導入を押さえて、「週休3日制」を望む人が54.5%と圧倒的な数値となりました。
週休3日制を導入している企業がまだ少ない分、導入すれば他社との差別化ができ、アピールポイントになりそうです。
週休3日制に対する学生の反応
引用:2025年卒 大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)| 株式会社マイナビ
ところで、学生たちは週休3日制についてどのように受け止めているのでしょうか。
上記は、マイナビが就活生に「週休3日制についてどの程度知っているか」を調査した結果です。これによると、「知っている」と答えた人は合わせて46.1%でした。
また「週休3日制の企業に就職してみたいと思うか」との問いに対しては、合わせて63.0%の学生が「就職してみたい」と答えました。いずれも、23卒や24卒と比べて増加傾向にあります。
過去の調査では週休3日制の企業を希望する理由として、単に休みたいだけではなく「社員のことを考えている企業だと思う」「新しいことを積極的に取り入れる企業に見える」という意見もあがっていました。
週休3日制を導入するメリット・デメリット
ここからは、週休3日制を導入するメリットとデメリットについて解説します。
メリット
週休3日制を導入するメリットには、次のようなものがあります。
- 他社との差別化を図り、優秀な人材にアプローチできる
- 育児や介護などを理由とする離職を防げる
- 働きながらスキルアップや能力開発をしてもらえる
- 従業員がワークライフバランスを実現できる
- 人件費や光熱費などのコストを削減できる
少子化や労働力不足が社会問題になる中で、ただ「週5日は働けない」という理由だけで、採用を見送るのは大きな損失です。出産・育児や介護、本人の体力面などの理由で、週5日は働けないものの、高い能力を持つ人はたくさんいます。
こうした人たちが活躍できる制度を整えることは、企業が今後も存続し、発展し続けるために重要なことだと言えます。
デメリット
一方で、週休3日制の導入には、次のようなデメリットもあります。
- 総労働時間が減る場合、今まで通りのやり方では売上や生産量を維持できなくなる
- 選択的週休3日制の場合、人によって勤務日数が異なるため、業務の振り分けが難しくなる
- 選択的週休3日制の場合、勤怠管理や人事評価が複雑化する
稼働時間が減るということは、今まで通りの働き方をしていると、売上や生産量も減ってしまうということです。売上や生産量を維持するためには「業務を効率化する」「人員を増やす」などの対策が必要です。
また、同じ職場内で週休2日の人と週休3日の人が混在する場合は、業務の振り分けや人事評価が複雑化します。休みの人の業務がフォローでき、なおかつ不公平感が生まれない仕組みにしなければなりません。
週休3日制を導入する際のポイント4つ
週休3日制を導入する際のポイントは次の4つです。
- 目的を明確にする
- 従業員の意見を聴く
- 制度設計は綿密に行う
- アナウンスは余裕をもって丁寧に行う
それぞれ詳しく見てみましょう。
目的を明確にする
まずは、週休3日制を導入する目的を明確にしましょう。
例えば「既存社員の流出防止」「新卒社員の集客」「副業・兼業の推進」などです。目的によって、週休3日制の3つのタイプ(総労働時間維持型・給与減額型・給与維持型)のうちどれを採用するのか、どのようなルールで運用するのかが変わってきます。
また、そもそも今ある経営課題に対して、週休3日制の導入がベストな解決法なのかどうかも、よく考えなければいけません。「制度を作ったものの、ニーズに合わず誰も使わなかった」ということがないようにしましょう。
従業員の意見を聴く
現実問題として「給与維持型」で週休3日制を導入できる企業は少ないかと思います。導入によって給与が減ったり、勤務パターンが変わったりする場合は、従業員の生活に大きく影響するため、慎重に意見を聴かなければなりません。
具体的には、次のような点について確認が必要です。
- 週休3日制が導入されたら、利用したいと思うか
- 週休3日制になったら、業務で困ること・心配なことはあるか
- 週休3日制になったら、従業員同士の関係性にどのような影響があるか
- 週休3日制の導入に向けて、会社のどのようなサポートが必要だと思うか など
週休を選択制にする場合は、週休3日制を希望する人だけでなく、週休2日制のまま勤務する人にも意見を聴くようにしましょう。
制度設計は綿密に行う
週の労働日数や労働時間が変わると、給与だけでなくいろいろな面に影響が及びます。以下はその一例です。
- 有給休暇はどのように付与するのか
- 賞与はどのように決めるのか
- 人事評価はどのように行うのか
- 管理職でも週休3日制を可能とするのか(認める場合、不在時はどうするのか)
- 副業・兼業を認めるのか
また、週休が増えると従業員同士が顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションが低下することが予想されます。属人的な業務が多いと、顧客や取引先に迷惑をかけることにもなりかねません。
そのため、業務フローを見直したり、ツールを導入したりして、支障が出ないような仕組み作りも並行して進めることが大切です。
アナウンスは余裕をもって丁寧に行う
週休3日制の導入は、従業員にとって大きな変化です。説明が不十分なまま急に始めると、業務に支障をきたしたり、反発を生んだりする可能性があります。
そのため、導入前にきちんと制度の目的やメリット、予想される影響などをアナウンスすることが大切です。制度の説明については、現場の管理者に任せたり、書面だけで済ませたりするのではなく、できれば人事から直接説明することが望ましいです。
特に、新卒採用で学生に説明する際は慎重に行わなければなりません。彼らには、そもそも普通の働き方(週休2日制)の経験も無いためです。認識に行き違いが生じないよう、双方向のコミュニケーションをとるようにしましょう。
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週休3日制は政府の経済改革の方針にも盛り込まれている、いま注目の働き方です。一方で、自社の週休を変更する際にはさまざまな準備が必要になるため、従業員の意見も聴きながら、計画的に進めることが大切です。
週休3日制は就活生の関心も高いため、導入することで他社との差別化も期待できます。働き方改革や福利厚生をアピールしたい企業の方は、ぜひ導入を検討してみてください。
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