近年、終身雇用や年功序列の制度が崩壊しつつあるなかで、若手人材の確保や育成に苦戦する企業が増えています。
「新卒採用をしているが学生が集まらない」
「新卒にイチから専門分野を教育するのが大変」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そんなときに検討したいのが、新卒の「ジョブ型採用」です。ジョブ型採用なら専門知識やスキルを持つ学生を採用でき、採用後のミスマッチも防げます。
本記事では、ジョブ型採用のメリット・デメリットや、成功させるポイントについて詳しく解説します。IT職種や研究開発職など、理系学生にアプローチしたいとお考えの方はぜひご覧ください。
ジョブ型採用とは
ジョブ型採用とは、人材を募集する時点で任せる仕事内容を決めて、その仕事に必要な知識やスキルを持つ人を採用する制度のことです。「職種別採用」とも言われることもあります。
以前から中途採用では一般的に行われていましたが、ここ数年は大手企業を中心に、新卒採用でも導入する企業が増えています。
ジョブ型とメンバーシップ型の違い
仕事内容を決めてから採用する「ジョブ型」に対し、日本で古くから行われてきた採用してから仕事内容を決める方法を「メンバーシップ型」と呼びます。ジョブ型とメンバーシップ型には、次のような違いがあります。
ジョブ型 | メンバーシップ型 | |
採用方法 | 仕事内容を決めてから採用する | 採用してから仕事内容を決める |
業務範囲 | 採用時に部署や業務範囲が決まっている | ジョブローテーションで適性を判断 |
勤務形態 | 原則、採用時の勤務地や労働時間が変わることはない | 配属される職種によって、勤務地や労働時間が変わることがある |
採用基準 | 専門的な知識やスキルなどを重視 | コミュニケーション能力や人柄、ポテンシャルを重視 |
報酬 | 職務内容や専門性により決定 | 勤続年数や役職により決定 |
教育 | 個人の学習が中心 | OJTや社内研修が中心 |
どのような職に就くのかを重視するジョブ型の「就職」に対して、会社の中で与えられた役割をこなすことを重視するメンバーシップ型は「就社」と表現されることもあります。
ジョブ型採用が注目される背景
最近になってジョブ型採用が注目されるのには、次のような背景があります。
- 終身雇用制度の崩壊
- 成果主義へのシフト
- ビジネスのグローバル化
雇用の流動化や成果主義、グローバル化といった時代の流れに対応するために、企業がゼネラリストよりも即戦力となるスペシャリストを求めるのは自然な流れです。したがって、ジョブ型採用を導入する企業は、今後ますます増えることが予想されます。
ジョブ型採用のメリット
ジョブ型採用には、次のようなメリットがあります。
- ミスマッチを防止できる
- 専門性の高い人材を確保できる
- 実力に応じた報酬を設定できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ミスマッチを防止できる
ジョブ型採用では、募集の時点で仕事内容や勤務地、労働時間などが明示されるため、ミスマッチを防止できるのがメリットです。
メンバーシップ型採用ではよく「本当は企画がやりたかったのに営業になった」「都会で働きたかったのに僻地に配属された」といった不満が生まれます。新卒社員は企業に対する愛着や一体感がまだ低いため、このような不満は早期離職にもつながりやすいです。
その点、ジョブ型採用であれば仕事内容や勤務地が分かったうえで入社するので、大きなミスマッチは起こりにくくなります。
専門性の高い人材を確保できる
ジョブ型採用なら、特定の分野に関する知識やスキルを持つ人材が確保できます。例えば、エンジニア採用なら情報系を専攻する学生、研究開発職の採用なら化学系を専攻する学生を採用するなどです。専門性の高い人材を採用すれば、人材育成の時間や手間を大幅に省略できるのがメリットです。
実力に応じた報酬を設定できる
ジョブ型採用では、その人に期待される成果が明確なため、採用時や入社後の評価をしやすいのがメリットです。例えば「売上〇円を達成する」「耐久性を〇%向上する」などは定量的に評価できるため、本人の納得感も得やすくなります。
一方、メンバーシップ型採用ではポテンシャルを評価するのが特徴です。そのため、「やる気がある」や「コミュニケーション能力が高い」など、質的な部分を評価・比較するという難しさがあります。
ジョブ型採用のデメリット
メリットが多いジョブ型採用ですが、もちろん完璧な手法というわけではありません。デメリットとして、次のようなことが考えられます。
- 採用が難しくなる
- 転勤や部署異動ができない
- 人材が流出しやすい
以下で詳しく解説します。
採用が難しくなる
あらかじめ特定の分野に関する知識やスキルを持つ人材を探すとなると、候補となる人材の母数が少なくなってしまうのがデメリットです。そのため、ターゲットとなる学生とどのように接点を持つのかが、採用成功のカギになります。
転勤や部署異動ができない
ジョブ型採用では、原則として転勤や部署異動を命じることができません。これは、雇用契約を結ぶ際に、業務内容や勤務地なども明記するためです。もし、ジョブ型採用した人材に転勤や異動を命じる場合は、新たな条件で再契約を結ぶ必要があります。
人材が流出しやすい
ジョブ型採用で集まる人材は専門性が高く、仕事内容や報酬を重視して勤務先を選ぶ傾向があります。そのため、他社でより良い条件の仕事があれば転職されてしまうのがデメリットです。特に優秀な人材の場合、高い報酬でヘッドハンティングされる可能性もあります。
ジョブ型採用を成功させるためのポイント
ジョブ型採用を成功させるためのポイントとして、次の3つが挙げられます。
- 職種に合った採用ツールを使う
- まずは部分的に始めてみる
- 帰属意識を高める工夫をする
ジョブ型採用は日本では比較的新しい採用手法のため、伝統的な雇用制度との調整が必要な部分もあります。導入する際は、これらのポイントをおさえて丁寧に進めることが大切です。
職種に合った採用ツールを使う
ジョブ型採用では、募集職種に合った採用ツールを使うことが重要です。専門的な知識やスキルを持つ人材は限られるため、やみくもに求人広告を出しても成果が上がりません。
ターゲット層の人材はどこで情報収集しているのか、どのように訴求すれば自社に興味を持ってくれるのかを分析し、効果的なツールを選びましょう。
まずは部分的に始めてみる
ジョブ型採用にはメリット・デメリットがあるため、新卒採用に一律で導入すると弊害が出る可能性があります。そのため、まずは「IT職種だけ」「研究開発職だけ」のように、部分的に導入してみるのがおすすめです。
実際に三菱UFJ銀行や、富士通、KDDIなどの大手企業では、営業職や管理部門は従来のメンバーシップ型採用を継続しつつ、一部の専門職でジョブ型採用を導入しています。
帰属意識を高める工夫をする
ジョブ型採用は、メンバーシップ型採用に比べて企業への愛着や一体感といった帰属意識が生まれにくいと言われます。確かに、人事評価は成果主義ですし、ジョブローテーションも無いため、個人主義でもやっていけるかもしれません。
しかし、帰属意識が低いままにしておくと、スキルが身についたときに自社に還元するのではなく、転職という道を選ぶ可能性が高まります。特に新卒社員の場合は、入社直後からテレワークで放置してしまうのは危険です。コミュニケーションツールを活用したり、定期的に社内イベントを企画したりして、帰属意識を高める工夫をしましょう。
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ジョブ型採用は、任せる仕事内容を決めてから、それに合った専門知識やスキルを持つ人材を採用する制度です。雇用の流動化や成果主義へのシフトに対応するために、有効な採用手法と言えます。
一方で、専門性を持つ人材は限られるため、マッチする人材を探すのが難しくなるのがデメリットです。そこで、理系学生の採用ツールをお探しの方におすすめしたいのが『TECH OFFER』です。
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