人的資本経営が注目される背景とは | メリットや実践の手順まで徹底解説

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人的資本経営が注目される背景とは | メリットや実践の手順まで徹底解説

「人的資本経営ってなに?」「人的資本経営の実践方法がわからない」

そのように考えている採用担当者は多くいます。この記事では人的資本経営について解説します。

人的資本経営は、人材に焦点を当てた人材・企業ともにメリットのある方法です。導入する際に知っておきたい「考え方」の他、「メリット」や「実践の手順」「ポイント」も紹介しています。

人的資本経営とは社員を資本とする考え方

人的資本経営とは、経済産業省も推進している経営に関する考え方です。人材を資本として、その価値を最大限引き出して、中長期的な企業価値向上へと繋げる方法を指します。

自社の経営に取り入れる前に、まずは以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 人的資本に明確な定義は無い
  • 人的資本経営が注目されている背景
  • EGS経営と結びついている

人的資本に明確な定義は無い

人的資本は、情報を発信する機関や企業によってバラバラです。程度の差こそあれ違いがあります。そのため、明確な定義はありません。参考にする場合は、内閣官房の「人的資本可視化指針」を活用しましょう。

一方で、違いがあるとはいえ共通する認識はあります。人的資本は無形資本にカテゴライズされる資本である点です。

  • 能力
  • 経験
  • 意欲

このような形にならないものを総じて人的資本と呼んでいます。企業によって事業や社風が異なるため、微妙な差異があるのも仕方ないのです。

人的資本経営が注目されている背景

人的資本経営が注目されるようになったのは、2020年に経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」に端を発します。2023年現在、更に発展させた「人材版伊藤レポート2.0」が指針です。人材資本経営の重要性が強調されたことから、注目を集めました。

従来、人材は資源の1つでした。「ヒト・モノ・カネ」が表すようにコストとして認識されていました。なるべく「効率的に少なく使う」が基本だったのです。

しかし人的資本経営は違います。人材は「利益や価値を生む存在」として資産に位置付けます。個性を育成・活用することで、資本としての人材に投資するのです。

人材は成長すると代替不可能な価値になります。変化が激しい時代だからこそ、臨機応変に対応できる人材を資本とする考え方が広まっています。

EGS経営と結びついている

人的資本経営は、EGS経営とも強い結びつきがあります。どちらも企業が社会的責任を果たすために必要不可欠な要素だからです。

人的資本は社員をリソースとして考え、投資して成長させることで企業価値を向上させる考え方になります。一方のEGS経営は以下の考え方です。

  • E(環境):環境に配慮した製品を開発するために、社員に環境問題に関する知識や意見を持たせるための訓練をする
  • G(ガバナンス):社員の教育・訓練や企業文化の浸透によって、倫理的な意思決定を促す
  • S(責任):社員の多様性を尊重し、ジェンダーや有期雇用にも配慮した包括的な雇用をする

両者に通じる部分があるのがわかります。人的資本経営は、EGS経営とセットで考えることで、より企業価値を高められるでしょう。

人的資本経営を実践するメリット

人的資本経営を実践するメリットを解説

人的資本経営は、多くの企業が取り入れ始めており、それには以下の5つのメリットが関係しています。

  • 社員の能力を可視化できる
  • 生産性が向上する
  • 社員のモチベーションが上がる
  • 企業のブランディングになる
  • 投資家に注目される

社員の能力を可視化できる

人的資本経営は、社員の能力を可視化するのに役立ちます。人材育成を通して、以下の能力がわかるためです。

  • 能力
  • 知識
  • スキル

人的資本経営によって個人が持つ能力は重要なウェイトを占めます。可視化し、本来のパフォーマンスを発揮できる人材配置をすれば、効果が大きくなります。能力の可視化は、経営において非常に大きなメリットです。

生産性が向上する

人的資本経営は、個人に投資する手法です。結果、生産性の向上にも期待できます。例えば以下です。

  • スキルアップ
  • 成長
  • 生産性向上

総じてパフォーマンスの向上に繋がっています。社員の能力を可視化できているからこそです。近年注目されているリスキリングもこの一環となります。

社員の生産性が向上すれば、企業にとっても大きなプラスです。企業がプラスになれば更に個人に投資できるため、プラスの効果を回せます。

社員のモチベーションが上がる

人的資本経営によって、企業が個人に投資する姿を見せられます。結果、社員のモチベーションが向上するでしょう。

人は大切にされるとやる気を出すものです。モチベーションが高まれば、自然と企業への帰属意識も高まります。離職率の低下にも繋がるため、企業にとって大きなプラスです。

自社に必要な能力を持った人材を囲い込めるメリットもあります。モチベーションが上がるのは、企業・個人双方にとってプラスです。

企業のブランディングになる

人的資本経営は、人を大切にする企業だと内外に発信できます。結果、企業のブランディングにも繋がります。

企業にとってブラック企業のイメージは大きなマイナスです。そうしたイメージを払拭し、プラスへのイメージへと転換できます。

「この企業で働きたい!」と思われるようになれば、採用の面でも有利になります。競争力も強化できるでしょう。

人的資本経営は、企業ブランディングのような外部にアピールできる部分にも効果が期待できる特徴があります。

投資家に注目される

人的資本経営は、企業価値を判断するための重要な指標です。したがって、投資家からも注目されています。例えば以下の面で評価を得られます。

  • 利益
  • 社会的価値

どちらも重要な要素です。投資対象として認識されれば、新商品やサービスの開発がしやすくなります。

企業ブランディングの副次的な効果に近いのですが、投資家を巻き込むのであれば人的資本経営は大きなメリットです。

人的資本経営を実践するための手順

人的資本経営を実践する際、気になるのが手順です。どういう順番で進めればいいのかわからない方もいるでしょう。

実践に人的資本経営を行う際は、以下の手順で進めてみてください。

  1. 人的資本経営の方針を決める
  2. 目標と現在のギャップを把握する
  3. KPIを設定する
  4. PDCAを回す

Step1.人的資本経営の方針を決める

まず、人的資本経営の方針を決めます。経営戦略を連動させなければいけないためです。以下を念頭に考えましょう。

  • 企業理念
  • パーパス(社会的意義)
  • 企業文化

人的資本経営は、経営戦略から外れると効果がありません。経営陣を巻き込みながら方針を決めるように意識してください。

Step2.目標と現在のギャップを把握する

方針が決まったら、次に目標と現在のギャップを把握します。人的資本経営は、ギャップをどう埋めるかが重要だからです。

ギャップがわかれば、以下のように対策を打ちやすくなります。

  • グローバル化を推進したい→ジェンダー平等や障がい者を含め多様性が必要
  • DXを推進したい→デジタルスキルを備えた人材の採用・育成が必要

どのような人材ならギャップを埋められるかを意識すると良いでしょう。

Step3.KPIを設定する

目標達成のための定量的なKPIは、人的資本経営でも重要です。どのような施策なら効果的なのかを考えながら設定しましょう。

  • 未来志向:過去を振り返りながら現状を認識し、未来を語る
  • 経営戦略との整合性:部分的な最適にならないようにする
  • 自社らしさ:自社らしさを表現する独自性

注意したいのが、人的資本経営のKPI達成を目的としないことです。戦略に合わせて変更を加えてください。無理なKPIは全体に影響を与えてしまいます。

Step4.PDCAを回す

人的資本経営の実践を開始したら、適宜モニタリングや改善を行います。PDCAを回し、変更を加えていきましょう。

人的資本は無形資本であるため、数値化・定量化しにくい特徴があります。有形資本のように数字だけでは判断できません。

中長期的な視点で観測し、PDCAを回して改善していくことが大切です。

人的資本経営を実践するポイント

人的資本経営を実践する際、意識したいポイントがあります。特に以下の3つのポイントは重要です。

  • 戦略との紐付けを徹底する
  • 自社の理想像を大切にする
  • 情報開示を目的化しない

戦略との紐付けを徹底する

人的資本経営を進めていると、経営戦略とかけ離れてしまうケースがあります。自社を取り巻く状況が変わっているのにも関わらず、柔軟に対応できないことから起こります。

経営戦略とかけ離れていては、せっかくの人的資本経営も効果を発揮できません。両者が密接に紐付けられているからこそ、最大限の効果を発揮します。

そのためにも、人的資本経営と経営戦略の紐付けは徹底して行いましょう。

自社の理想像を大切にする

人的資本経営の目的は、自社の理想像に向かって進むことです。決して他社の真似をすることではありません。ですが、人的資本経営を導入すると、どうしても以下の現象が起こります。

  • 他社の真似をしてしまう
  • 経営判断に必要ないKPIを設定してしまう

このような状態にならないためにも、自社の理想像を念頭に置いておかなければいけません。人的資本経営は、社員全員が同じ方向を向いてこそ、最大限の効果を発揮するからです。

理想像を共有し、同じ目的に向かって進むようにしましょう。

情報開示を目的化しない

人的資本経営を実践していると、以下のケースで情報開示を求められる場合があります。

  • 海外における開示の義務化
  • 投資家の要望

こうした状態に遭遇し続けると、いつの間にか情報開示が目的化します。

ですが重要なのは、「どうすれば企業価値を高められるか」です。開示を目的にしてしまうと、データの計測や集計で終わり、経営に反映できません。

自社を良くするにはどうすればいいのかを念頭に置いて、情報開示と向き合いましょう。

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人的資本経営は、近年注目を集めている手法です。人材をコストではなく無形資産として扱い、積極的に投資することで企業も成長させていく取り組みとなっています。

社員・企業ともにメリットが大きく、企業ブランディングとしても活用できるでしょう。人的資本経営において新卒からの育成を考えているのであれば、ダイレクトリクルーティングの『TECH OFFER』がおすすめです。理系学生の属性が細かくわかるため、人的資本経営に沿った採用ができます。『TECH OFFER』が気になる方は、以下より資料をダウンロードできますので、合わせてご確認ください。

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