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近年、副業を解禁する企業が増えており、新卒社員の間でも副業への関心は高まっています。一方で、副業を解禁すると本業に支障が出るのではないかと心配している方も多いのではないでしょうか。
副業制度を導入する際は、メリット・デメリットを理解したうえで、就業規則や運用ルールを整備しておくことが重要です。本記事では、副業の最新動向や新卒社員の意識調査、メリット・デメリットについて解説します。副業制度の導入がうまくいけば、採用の切り札としても使えるので、ぜひ参考にしてください。
副業の最新動向
はじめに、副業の最新動向について政府資料をもとに解説します。
- 副業制度を導入している企業の割合
- 副業・兼業は政府が推進している
- 副業と兼業の違い
副業制度を導入している企業の割合
引用:基礎資料|内閣官房
上記は、内閣府が副業制度の導入状況について調査した結果です。副業が「許容されている」と答えた企業の割合が青色で、「禁止されている」と答えた企業の割合が赤色で示されています。
企業規模別に見ると、許容されている企業は大企業で21.3%なのに対し、小規模企業では41.4%となっています。反対に、禁止されている企業は大企業で43.3%、小規模企業で15.8%でした。以上のことから、規模が小さい企業ほど、副業制度の導入が進んでいることが分かります。
また、同資料では副業禁止の理由に関する調査結果も掲載されています。上位には「自社の業務に専念してもらいたいから」「疲労による業務効率の低下が懸念されるから」といった理由が挙げられています。
副業・兼業は政府が推進している
副業・兼業は、政府が推進している取り組みです。きっかけは、2017年の「働き方改革実行計画」で、人生100年時代を生きるための施策として、副業や兼業によるスキルアップや収入アップが盛り込まれたことだと言われています。
その後、2018年には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も発表されました。このガイドラインでは、労働時間の管理や健康管理、労災保険や社会保険の考え方などが詳しく解説されています。何度か改正しながら運用されているため、これから副業の導入を考えている方は、一度目を通しておくことをおすすめします。
副業と兼業の違い
「副業」と「兼業」はよく一緒に使われる用語で、法律上の明確な定義はないものの、一般的には次のように区別されています。
副業:メインとなる本業がある状態で、サブ的な位置づけで取り組む仕事のこと。主に、本業が休みの日や、余暇を使って行う。あまり大きな責任を伴わないものが多い。
兼業:メインとサブの優先度があいまいで、どちらも同程度に注力しながら掛け持ちしている状態のこと。副業に比べて事業度が高いのが特徴で、企業で勤務しながら個人で本格的な事業を経営するような例もある。
どちらも、2つ以上の仕事をして収入を得るという点が共通しています。
新卒社員の副業に対する意識調査
引用:【調査報告:新卒】副業を考えている割合が39.3%だと判明 | 入社3年目までに始めたい人が多数を占める | 株式会社Synergy Careerのプレスリリース
ここでは、新卒社員の副業に対する意識調査の結果を紹介します。
上記は、転職情報サイトを運営する株式会社Synergy Careerが、新社会人117名を対象に、副業を考えているかどうかを尋ねた結果です。副業を考えていない人が約6割であるのに対し、残りの約4割の人は副業を考えている(または既にしている)と回答しています。
この調査は入社半年時点で行われたものですが、4.3%の人は「既に副業をしている」ことも分かりました。さらに、副業を希望する人に「いつ頃したいか」を尋ねたところ、今すぐ〜入社3年目以内と答えた人の割合が、合わせて60.8%にものぼりました。
また、転職支援サービスを運営するアン・コンサルティング株式会社は、副業を行っている(または興味がある)人に対して、その理由を尋ねるアンケート調査を実施しています。その結果、「初任給では生活が苦しいから(49.3%)」、「暇な時間を有効活用したいから(36.2%)」、「本業以外でもスキルをつけたいから(34.8%)」といった回答が上位に挙がりました。
参考:【HR白書 2024 vol2~新卒編~】新卒社員の4割以上が退職を考えている?!副業には55.8%、フリーランスには29.0%が興味あり。 | アン・コンサルティング株式会社のプレスリリース
企業が副業制度を導入するメリット
ここからは、企業が副業制度を導入するメリットについて解説します。
- 従業員のスキルアップになる
- 優秀な人材を確保できる
- 多様な人材を活用できる
それぞれ詳しく見てみましょう。
従業員のスキルアップになる
副業制度を導入すると、従業員のスキルアップにつながることが期待できます。自社では経験できない業務に携わることで、視野が広がったり、新しいノウハウを習得するチャンスが生まれるためです。
例えば、自社では管理職に従事している人が、副業では手を動かすプレーヤーの立場になることで、指示される側の事情や気持ちが分かるようになる、ということもあります。また、本業とは全く違う分野の副業を経験することで、新しいアイデアが生まれるかもしれません。
副業で得たスキルを本業でも活かせば、従業員個人だけでなく、組織としての成長も期待できます。
優秀な人材を確保できる
副業制度の導入は、優秀な人材を確保することにもつながります。前述の調査結果でも、新卒社員の大半が副業に関心を持っていることが分かりました。
人によって「収入を増やしたい」「やりたいことがある」など理由はさまざまですが、これらの思いが高まったときに、副業が禁止されている企業では、転職するしかありません。せっかく入社してくれた若手社員が、一人前になるかどうかという時期に離職してしまうことになります。
その点、副業が許可されている企業であれば、本業を続けながら挑戦するという選択肢もできるため、優秀な人材が流出するのを防げます。
多様な人材を活用できる
多様な人材を活用できるようになることも、副業制度導入のメリットです。副業を認めることで、正社員やアルバイトといった従来の雇用形態にとらわれず、必要なスキルを持った人材を柔軟に活用するノウハウが蓄積できます。
今後、労働力不足の時代を迎えるにあたり、人材をいかに柔軟に活用できるかは、企業が生き残るための重要なポイントです。世の中には、仕事の能力が高くても、育児や介護、持病、通勤距離などの問題で、正規雇用の働き方ができない人もたくさんいます。副業制度を導入することは、働き方の多様性を認める第一歩になります。
企業が副業制度を導入するデメリット
副業制度の導入で考えられるデメリットは、以下の通りです。
- 業務に支障をきたす可能性がある
- 情報漏洩のリスクがある
業務に支障をきたす可能性がある
やはり、副業制度の導入で最も心配なのが、自社の業務に支障をきたすことではないでしょうか。副業のせいで十分な休息が取れず、過労で体調を崩してしまうことが懸念されます。複数の企業で雇用されて働く場合は、労務管理も複雑になるため注意が必要です。
また、人によっては副業に注力し過ぎた結果として、本業の時間内にまで副業を持ち込んでしまうことがあるかもしれません。もちろん、これは「職務専念義務違反」にあたる行為です。トラブルを未然に防ぐためには、就業規則をしっかりと整備するとともに、周知も徹底しておくことが大切です。
情報漏洩のリスクがある
副業を許可するもう1つのデメリットは、情報漏洩のリスクが生じることです。具体的には、業務のノウハウや顧客情報などの流出が考えられます。
特に、副業が同じ業界だった場合、競合他社に情報が漏れると企業の存続に関わる事態に発展する可能性もあります。対策としては、副業を許可制にすること、同業他社での副業は禁止すること、秘密保持誓約書を締結することなどが有効です。
また、簡単に情報を持ち出せない環境を作ることも大切です。データベースの出力や、添付ファイルの送信に制限をかけることは、副業制度だけでなく情報セキュリティの対策にもなります。
副業制度の導入は採用の切り札にもなる
副業制度の導入は、場合によっては採用の切り札になることもあります。
近年、新卒の人材獲得競争は激化しており、計画人数を充足できない企業も増えています。多くの学生に興味を持ってもらい、自社を志望してもらうためには、学生のニーズを把握して他社と差別化を図ることが大切です。
実際、テレワークやフレックスタイム制などを導入している企業は、ワークライフバランスを重視する学生からの人気が高い傾向にあります。同様に、副業制度の導入も、収入アップや自己実現を目指す学生の需要があると考えられるため、ぜひ検討してみてください。
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副業制度の導入は、政府が推進していることもあり、新卒社員の関心が高いトピックです。制度の導入にはメリットとデメリットがあるため、就業規則や運用ルールをしっかり整備してからスタートさせることが大切です。多様な働き方を取り入れることで、優秀な人材の確保につなげましょう。
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