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新卒採用において、「歩留まり」は採用成果を大きく左右する重要な指標です。
エントリー数や内定数を確保できていても、選考途中や内定後に学生が離脱してしまえば、採用は思うように進みません。
近年は売り手市場が続き、学生一人当たりの内定獲得数も増加しています。
そのため、歩留まり率の低下は多くの企業が直面する共通の課題となっています。
本記事では、新卒採用における歩留まりの基本的な考え方から、平均値の目安、低下要因、改善のポイントまでを分かりやすく解説しています。
新卒採用における歩留まりとは

新卒採用における歩留まりとは、採用プロセスの各フェーズにおいて、次の段階に進んだ学生の割合を指す指標です。
エントリー、書類選考、面接、内定、入社といった各段階で、どれだけの学生が離脱せずに進んでいるかを数値で把握できます。
新卒採用では応募数や採用人数に目が向きがちですが、実際には途中フェーズでの離脱が採用成果に大きく影響します。
そのため、歩留まり率は採用活動全体の状況を把握するうえで欠かせない指標といえます。
新卒採用の歩留まり率の計算方法
新卒採用の歩留まり率は、前の選考フェーズにいた学生のうち、次のフェーズに進んだ学生の割合を示す数値です。
以下の計算式で算出できます。
・歩留まり率(%)= 次のフェーズに進んだ人数 ÷ 前フェーズの人数 × 100
例えば、エントリーが200名で、そのうち100名が書類選考を通過した場合、
エントリーから書類選考への歩留まり率は50%となります。
歩留まり率はボトルネックを特定しやすくするためにフェーズごとに分解して算出することが重要です。
新卒採用における歩留まり率の平均値・目安
新卒採用の歩留まり率の目安は、学生のプレエントリーから選考参加(書類選考)までが15~25%程度、
選考参加から内定出しまでが8%~15%程度、内定出しから承諾までが50%程度とされています。
つまり、1人の内定承諾を得るためには100人程度のプレエントリーが必要ということになります。
ただし、この数値は企業の認知度や採用人数、利用している採用サービスによって大きく変動するので、あくまで目安となります。
例えば、有名企業だとエントリー数が多く必然的にエントリーから内定出しまでの歩留まり率は下がりますし、ターゲティング精度の違いでナビサイトよりオファー型サービスの方が歩留まり率は高くなる傾向にあります。
また、内定承諾率についても、競合条件や内定者フォローの質で上下します。
下記は企業向けアンケートから算出した新卒採用の各フェーズにおける学生数の平均値と歩留まり率です。
| 項目 | 人数 | 歩留まり率(推移率) |
| プレエントリー | 1966.5 | – |
| 書類選考 | 344.7 | 17.5% |
| 面接人数 | 146.4 | 42.5% |
| 内定出し、内々定出し | 48.2 | 33% |
| 内定人数 | 26.9 | 55.8% |
歩留まり率はフェーズごとに差がありますが、必ずしもすべて高ければ良いというわけでもないです。
自社の採用の目的や認知度に合わせて、歩留まり率を調整しながら自社のどのフェーズで離脱が起きているかを把握することが重要です。
次章では、フェーズ別に歩留まり率が低下する主な要因を整理していきます。
フェーズ別に見る新卒採用の歩留まり率低下要因
近年の新卒採用市場は売り手市場が続いており、学生一人当たりの内定獲得数は増加傾向にあります。
そのため、企業にとっては歩留まり率が低下しやすい状況です。
こうした環境の中でも、歩留まり率の低下は採用プロセス全体で均等に起こるわけではありません。
多くの場合、特定のフェーズで学生の離脱が集中しています。
ここでは、採用フェーズ別に、それぞれの段階で歩留まり率が低下する主な要因を整理します。
認知→接触(プレエントリー)
自社の魅力や強みが明確になっていない
自社の魅力や強みが明確でないと、学生の企業理解が進まず、説明会参加やエントリーにつながらないまま離脱する原因になります。
他社との違いが伝わらないことで、企業選びの優先度も下がりやすくなります。
口コミやSNSによるネガティブな評判
口コミサイトやSNSでの評判が悪い企業は認知度が高くても、接触に至らないケースが多いです。
学生は企業のHPや説明会での表向きな情報よりも、口コミサイトやSNSのリアルでネガティブな情報を意識する傾向にあります。
そのため、雇用条件やメッセージ性が良くても、評判が悪ければ学生の選択肢から外されてしまいます。
特に大きい企業ほど悪いニュースが出た際の影響は大きく、母集団形成に大きな影響を与えます。
プレエントリー→選考エントリー
説明会やイベントで魅力が伝わっていない
説明会やインターンシップなどのイベントへの参加人数に対して、実際の選考へのエントリー数が少ない場合は、学生へ自社の魅力が伝わり切っていない可能性があります。
タイパを重視する学生は、時間がかかるエントリーの前にある程度企業を絞り込む傾向があります。
そのため、情報提供を行うタイミングで企業情報や魅力が伝わり切っていないと、エントリーにつながらなくなってしまいます。
エントリー条件が多い・わかりにくい
エントリー条件にTOEIC点数や特定の資格などの条件を設ける場合、説明会やオープンカンパニーで接触できたとしてもエントリー率は低くなる傾向にあります。
また、募集要綱の抽象度が高すぎると、求めている人材像が伝わりにくく「自分は対象ではない」と思われてしまう可能性もあります。
選考エントリー(書類選考)→面接
足切りのハードルが高い
足切りのハードルを高くしすぎると歩留まり率は下がります。
一方で、ハードルを下げると面接などの対応工数が増えるためリソースとその後の歩留まり率を見ながら調整する必要があります。
合格判断・面接日程調整までが遅い
学生は並行して複数の企業にエントリーします。そのため連絡が遅くなると他の予定が入ってしまっていたり、他で内定が出て辞退されてしまう可能性もあります。
また、書類上のステータスが優秀な学生ほど面接日程も埋まりやすいため、連絡が遅くなるほど不利になってしまいます。
面接→内定出し
選考スピードが遅い
選考スピードが遅いと、学生の関心が他社に移りやすくなります。
複数社の選考が同時に進む中で、結果連絡や日程調整が遅れると、選考辞退につながりやすくなります。
面接などの担当者の対応に問題がある
面接は企業が学生を判断する場であると同時に、学生も企業の対応を見て比較しています。
説明不足や対応の不備があると、学生は不安や不信感を抱きやすくなり、選考辞退につながる可能性が高まります。
内定出し→内定承諾
内定後のフォローが不十分だった
学生にとって雇用条件やキャリアの将来性で差をつけられない場合、最後の決め手としてフォローの手厚さや対応者との関係性が決定要因になることがあります。
そのため他社と比較して内定後のフォロー対応が悪いと、結果として内定辞退につながりやすくなります。
新卒採用の歩留まり率を改善するためには?

歩留まり率を改善するためには、単に各フェーズの数字を上げるのではなく、採用プロセス全体を見直し、学生との接点の質を高めていくことが重要です。
ここでは、実務上取り組みやすい改善策を整理します。
求める人物像を明確にし、自社に合う学生を集める
(主に改善しやすいフェーズ:認知→接触/面接→内定出し)
求める人物像が曖昧なままでは、志向や価値観が合わない学生も多く集まってしまいます。
あらかじめ自社で活躍する人物像を明確にし、それに合う学生に絞ってアプローチすることで、学生側も企業に対して興味関心を持ちやすくなります。
また、求めるターゲットが明確になることで、マッチ度の高い母集団を形成しやすく、面接での歩留まり率も改善できます。
採用ブランディングによって自社の魅力を一貫して伝え続ける
(主に改善しやすいフェーズ:認知→接触/内定出し→内定承諾)
採用活動の中で伝えるメッセージに一貫性がないと、学生は企業理解を深めにくくなります。
説明会・座談会・面接・内定者フォローまで、自社の価値や強みを同じ軸で伝え続けることが重要です。
採用ブランディングを強化することで、学生の企業に対する興味関心が高まり、内定後まで一貫して伝え続けることで学生の意識も醸成されます。
結果として学生の内定承諾につながりやすくなります。
連絡や面接などの対応レベルを上げる
(主に改善しやすいフェーズ:選考エントリー→面接→内定出し)
学生は、連絡の速さや面接時の対応から企業姿勢を判断しています。
返信が遅い、面接官の態度が悪いといった対応は、不信感につながりやすくなります。
こまめな連絡や、面接官の対応品質を高めることで、学生の安心感と志望度を高めることができます。
面接時の対応が学生の志望度に与える影響や改善策については、以下の資料も参考になります。
事前情報と選考内容のギャップをなくす
(主に改善しやすいフェーズ:面接→内定出し)
説明会や採用サイトで伝えている内容と、実際の選考や面接での話に差があると学生はギャップを感じてしまいます。
事前情報と選考内容のギャップを減らし、リアルな情報を正しく伝えることが、選考途中や内定後の辞退を防ぐポイントです。
また、口コミサイトの内容についても把握しておくことで、学生が気にするポイントにも先回りして対応することができます。
選考プロセスを短縮し、意思決定を早める
(主に改善しやすいフェーズ:書類選考→面接)
売り手市場では、選考スピードがそのまま歩留まり率に影響します。選考期間が長引くと、その間に他社選考が進み、辞退につながる可能性が高まります。
選考フローを見直し、不要な工程を省きつつ意思決定を早めることで、離脱を防ぎやすくなります。
選考フロー設計の考え方や見直しのポイントについては、以下の資料でも詳しく解説しています。
内定後フォローを十分に行う
(主に改善しやすいフェーズ:内定出し→入社)
内定後も、学生は入社に対する不安や迷いを抱えています。この期間にフォローが不足すると、企業への熱量が下がり、内定辞退につながりやすくなります。
社員面談や情報提供などを通じて、継続的に接点を持ち、入社動機を強化することが重要です。
歩留まり率を上げるときの注意点3つ

歩留まり率の改善は重要ですが、やり方を誤ると採用の質の低下やミスマッチを招く恐れがあります。
ここでは、歩留まり率改善に取り組む際に注意すべきポイントを整理します。
魅力付けを過剰にしすぎない
自社の魅力を過度に強調してしまうと、入社後のイメージとのギャップが生まれやすくなります。
短期的には選考参加や内定承諾につながったとしても、入社後のミスマッチから早期離職を招くリスクが高まるため注意が必要です。
実態に即した情報を伝え、納得感のある魅力付けを行うことが重要です。
母集団を絞りすぎない
歩留まり率だけを見ていると、エントリー率や選考通過率を上げるためにターゲットを絞りすぎたり、内定承諾率を上げるために選考を厳しくしたりなどの分母を減らす取り組みを、知らず知らずのうちに行ってしまうことがあります。
ターゲット学生の水準を保つためには一定の絞り込みは必要ですが、母数が減ってしまうと採用可能性があった学生とも接触できないといった機会損失が発生してしまいます。
とはいえすべてのフェーズにリソースを割くことはできないので、注力して選定する関所を決めると効率的に採用を進めることができます。
どのフェーズに原因があるのかを見誤らない
歩留まり率だけを見て改善点を探すと、実際の採用成果の改善につながらないことがあります。
例えば、内定承諾率を高めるために内定者フォローに力を入れたが、本当の問題はフォローの質ではなくそもそものターゲット学生が社風と合っていなかったといったケースです。
この場合、仮に選考エントリー率が高かったとしても、実際の採用につながっていないのでターゲットや訴求を見直すべきです。
フェーズごとの歩留まり率を見ることも重要ですが、採用の成果を上げるためには課題の本質を見誤らないことが前提となります。
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歩留まり率を改善し、採用を成果を上げるためには、闇雲に母集団を増やすのではなく、自社に合う学生と早い段階で多くの接点を持ち、志望度を高めていく採用手法が効果的です。
特に理系採用においては、専門性や志向を踏まえたアプローチが、歩留まり率改善に直結します。
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