タイパ就活とは?企業から見たメリット・デメリットと対策ポイントを解説

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タイパ就活とは?企業から見たメリット・デメリットと対策ポイントを解説

最近は、若者を中心に「タイパ」を重視する人が増えています。タイパという価値観は日常生活だけでなく、人生のターニングポイントとなる就職活動にも及んでいます。

採用担当者の中には「タイパを重視する学生に、どのようにアプローチすれば良いのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。なるべく多くの学生に出会い、優秀な人材を採用するためには、選考段階に応じて情報の伝え方や時間のかけ方を工夫することが大切です。

本記事ではタイパ就活のメリット・デメリットや、対応するためのポイントについて詳しく解説します。効率を重視しつつも、ミスマッチは避けたいとお考えの方は、ぜひご覧ください。

タイパ就活とは

「タイパ」とは、タイムパフォーマンスの略です。「コスパ」が、かけた費用や労力に対するパフォーマンスを表すのに対し、「タイパ」はかけた時間に対するパフォーマンスを表します。

時間に追われる生活の中で、人々がタイパを重視する傾向は強まっています。2022年には三省堂が発表する「今年の新語」にも選ばれました。

タイパを重視する行動の具体例としては、動画を倍速で再生する、家事を家電に任せる、調理や摂取が手軽な食事を好む、などが挙げられます。タイパの波は、日常生活だけでなく新卒の就活にも及んでいます

タイパ就活の具体例

タイパ就活の具体例には、次のようなものがあります。

  • 会社説明会や就活ノウハウの動画を倍速で視聴する
  • 会社説明会や面接にオンラインで参加する
  • 1日で複数の企業と出会える就活イベントに参加する
  • 履歴書やエントリーシートはパソコンで作成し、テンプレート化する

学生は就活中も、授業や研究、サークル活動、アルバイトなど、さまざまな活動を同時にこなさなければなりません。そのため、限られた時間の中で、最大限の成果を得たいと考えています

また、最近は採用動画の導入や面接のオンライン化など、デジタルツールが普及したことも、タイパ就活が広がった一因と言えます。

就活における学生のタイパ意識

ここからは、就活における学生のタイパ意識について、さまざまな調査結果をもとに解説します。

  • タイパ就活についてどう思うか
  • タイパ就活を意識する瞬間はいつか
  • 業界・企業研究の際、タイパが良い方法は何か

タイパ就活についてどう思うか

引用:2025年卒 大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査(1月) | 株式会社マイナビのプレスリリース 

上記は、マイナビが24卒・25卒の就活生に「インターンシップ参加、就職活動準備、就職活動においてタイパを意識することのメリット、デメリットについてどのように感じるか」を調査した結果です。24卒では、「メリットの方が多いと思う」が45.8%、「メリットとデメリットが半分半分だと思う」が51.1%、「デメリットの方が多いと思う」が3.1%となりました

また、それぞれの回答について、以下のような理由が挙げられました。

  • メリットの方が多い:時間配分に気を付け、効率性を重視して動くことの必要性を感じる。
  • デメリットの方が多い:将来を決める重要なことなので、小手先の策は通用しない。たとえ時間がかかったとしてもリソースを費やした方が未来の為になると思う。

以上のことから、学生も単純に「かける時間が短ければ良い」と考えているわけではなく、タイパを追求するデメリットも、きちんと認識していることがわかります。

タイパ就活を意識する瞬間はいつか

引用:24卒~27卒 就活における「タイパ」についての調査|株式会社インタツアーのプレスリリース

こちらは、インタツアー社が24卒〜27卒の大学生1,156名に「就活においてタイパを意識する瞬間はいつですか」と尋ねた結果です。最も多かったのが「企業の情報収集をする時(41.8%)」、次いで「エントリーシートを書く時(30.1%)」、「自己分析をする時(25.1%)」となりました。情報収集やエントリーシートの作成は、就活の序盤で何十社も同じことを行わなければならないため、1つひとつに時間をかけられないのが現実です。

一方で、「面接を受ける準備をする時」にタイパを意識する人は16.3%にとどまっています。ある程度就活のフェーズが進んでくると、効率を追い求めるのではなく、それなりの時間をかけて入念に準備をしていることが分かります。

業界・企業研究の際、タイパが良い方法は何か

引用:24卒~27卒 就活における「タイパ」についての調査|株式会社インタツアーのプレスリリース

同じくインタツアー社の調査では、「就活において企業や業界について調べる際、何を使って調べるのがタイパがいいと思いますか」という質問もしています。結果は「各企業のサイト」が47.9%、「ナビサイト」が42.4%、「SNS」が41.9%となりました。

一言で「情報収集」と言っても、業界や職種の全体像を知りたい場合と、1つの企業について詳しく知りたい場合があります。そのため、全体像を知りたいときにはナビサイト、個別の企業について深掘りしたいときは企業サイトやSNS、というように、目的に応じてツールを使い分けていると推察されます

企業から見たタイパ就活のメリット

企業から見た場合の、タイパ就活のメリットは以下の通りです。

  • より多くの学生と出会える
  • 学生の時間管理能力が高まる

より多くの学生と出会える

就活イベントや説明会・面接のオンライン化によって、学生は1日で多くの企業を回れるようになりました。裏を返せば、企業側も多くの学生に出会えるようになったということです。

以前なら接点が持てなかった地方の学生や、研究や部活で忙しい学生などとも出会えるようになりました。これにより、企業が今までとは違った層から優秀な人材を採用できるチャンスが増えています。

また、説明会動画を活用すれば、採用チームの人手が限られていても、場所や時間を選ばずに広報活動ができます。学生が多くの業界や企業を見られるようになったことで、広い視野で比較検討してもらえることもメリットです。

学生の時間管理能力が高まる

多くの学生は、学業や部活、アルバイトと並行して就活をしています。そのため、全ての予定をうまく回していくためには、自分で計画して効率よく動かなければなりません

例えば「今週は授業やアルバイトが何日あるのか」「就活の面接はいつなのか」「面接に間に合わせるためには、いつまでに企業研究をしなければいけないのか」「どれくらいの時間を確保すれば良いか」などの計画が必要です。

このように、忙しい中でも時間を管理する能力は、社会人になってからも欠かせません。就活でタイパを意識することで、自然に時間管理能力が高まるのがメリットと言えます。

企業から見たタイパ就活のデメリット

タイパ就活自体が悪いわけではありませんが、効率ばかりを求めすぎると、次のようなデメリットがあります。

  • 表面的な情報で判断されてしまう
  • ミスマッチの可能性が高まる
  • 忍耐力に懸念が残る

表面的な情報で判断されてしまう

タイパを重視すると、どうしても伝えられる情報は限られてしまいます。一方で、細かいニュアンスや可視化しにくい内容を伝えるには、一定の時間が必要な場合も多いです。

例えば、企業文化や雰囲気、人間関係などは、言葉で伝えるのには限界があります。一言で「社員の仲が良い」と言っても、コミュニケーションのスタイルや距離感はさまざまです。企業の雰囲気を正しく理解するためには、何度もやりとりを重ねたり、実際に現場を見たりすることが必要になります。

タイパを重視し過ぎると、自社の魅力を伝えきれず、入り口の段階で「自分に合わない」「面白くない」と判断されてしまう可能性があります。

ミスマッチの可能性が高まる

タイパ就活では、ミスマッチの可能性が高まることもデメリットです。

効率を追求するとムダを省ける一方で、意外な発見や出会いのチャンスが減るという側面もあります。興味のない企業情報に触れることは、一見すると非効率かもしれませんが「世の中にはこんな仕事もあったのか!」「意外とこういう仕事も自分に合っているかもしれない!」と気付くチャンスでもあるのです。

学生は、タイパ就活によって視野が狭くなり、業界・企業分析や自己分析が浅くなっているかもしれません。思い込みで就活を進めた結果、入社してから「こんなに大変だと思わなかった」「自分には向いていなかった」というミスマッチを起こす可能性があります。

忍耐力に懸念が残る

タイパ就活では、努力を続ける忍耐力があるかどうかを見極めにくいのがデメリットです。

実際の仕事においては、すぐに報われないことや、効率だけでは割り切れないことも多々あります。例えば営業職では、今すぐ契約に結びつかない顧客の元にも、定期的に足を運んで信頼関係を構築したり、種まきをしたりすることも大切です。今月の売上にならないからといって切り捨ててしまうわけにはいきません。

タイパを重視する学生の場合、結果を早く求める傾向があるため、粘り強く取り組んだり、何度も試行錯誤したりすることが苦手な可能性もあります。

企業がタイパ就活に対応するためのポイント

企業がタイパ就活に対応するためのポイントは、以下の3つです。

  • 分かりやすく伝える工夫をする
  • 選考フェーズに応じて、時間のかけ方にメリハリをつける
  • ツールを活用する

分かりやすく伝える工夫をする

自社の魅力を伝える際は、ポイントを絞って具体的に表現することが大切です。

限られた時間の説明で「給料が高い、残業が少ない、人間関係が良い…」のように、あれこれ詰め込んでしまうと、結果的に全ての情報が浅くなり、何も印象に残らなくなってしまいます。

この場合は、ポイントを絞って掘り下げることが効果的です。例えば「残業が少ない」という1点に焦点をあてて、平均で何時間なのか、具体的にどのような取り組みをしているのか、社員は余暇で何をしているのか、などを紹介すると「残業が少ない会社」としてアピールできます。

また、抽象的なフレーズにも注意が必要です。「未来をつくる」「世界をリードする」などはよく使われる言葉ですが、抽象度が高いので、具体例も示すようにしましょう。

選考フェーズに応じて、時間のかけ方にメリハリをつける

タイパ就活に対応するためには、選考フェーズに応じて、時間のかけ方にメリハリをつけることも大切です。

前述の調査結果でも、タイパは就活の序盤で特に重視されることが明らかになっています。そのため、説明会は動画やオンラインを活用して効率よく実施し、ある程度選考が進んだ段階の面接ではじっくり時間をかける、といった対応が効果的です。あえて対面で時間をかける場合には、学生が「タイパが悪い」と感じることが無いよう、時間をかける目的をあらかじめ説明しておくのもおすすめです。

選考フェーズの終盤まで効率を重視してしまうと、ミスマッチを起こしたり、学生を不安にさせたりする可能性があるので注意しましょう。

ツールを活用する

タイパを向上させるためには、ツールを活用することも欠かせません。具体的には、採用動画の導入、説明会や面接のオンライン化、ダイレクトリクルーティングの活用などが挙げられます

特にダイレクトリクルーティングは、知名度が低い企業でもターゲットとなる学生に直接アプローチできるのでおすすめです。学生側も、プロフィールを登録して待つだけで就活ができるとあって、研究で忙しい理系学生の間でも人気が高まっています。

ツールを導入することで、企業側も採用チームのリソース不足を解消したり、採用プロセスを効率化したりする効果も期待できます。

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タイパ就活にはメリットとデメリットがあるため、これらを理解したうえで対応していくことが大切です。学生の価値観や生活スタイルに合わせて、柔軟に採用手法を変えていくことは、人材の多様化に対応することにもつながります。自社に合った学生と出会うために、できることから始めてみましょう。

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