事業の幅広さを的確な層にアピールできていなかった
―TECH OFFER導入以前、理系学生の採用においてどのような課題をお持ちでしたか?
化学素材メーカーにはよくある課題かもしれませんが、事業内容からイメージしやすい材料系や化学系の学生からの応募はある程度確保できている一方、機電系や情報系の学生からの応募者数を伸ばせずにいました。それがTECH OFFER導入の動機です。
新卒採用においては、開発職や設計職、プロセスエンジニア、生産技術職、DX関連など、さまざまな職種を募集しており、そのなかには、機電系でいえば新製品のプロセス開発、情報系でいえば工場IoTデータの分析やAIを用いた新規事業探索など化学系以外の学生でも活躍できる場が多数あります。そうした事業の幅広さを、学生が魅力的に感じるようにアピールできていませんでした。
―新卒学生の選抜においてはどのようなことを大切にしていますか?
業務内容だけでなく、企業のミッションやバリューへの共感も大切なポイントの一つであると感じています。
社会の変化が進むなか、当社は今後積極的に変革しなければいけない会社です。例えば、主力製品の一つに自動車排ガス中の有害物質を除去・低減する排ガス浄化用セラミックスがありますが、世界的にガソリン車からEVへの転換が進んでいますので、当社には「既存のビジネスだけではこれからの時代に生き残れない」という危機感があります。しかし、それは言い換えれば、今まで培った技術をもとにした新しい世界を生み出すストーリーに携われる会社であるともいえます。
そのマインドをまずは理解し、共感していただいたうえで入社していただきたいという強い気持ちが、会社として、また私個人としてもあります。リアルをしっかり伝え、納得したうえで選んでいただける採用活動を目指す、そのための情報発信手段の一つとしてもTECH OFFERは有効だと感じ、導入に至りました。

―導入以前はどういった方法で学生を集めていたのでしょうか。
基本的にはナビサイトを利用しつつ、合同説明会に参加するなどしていました。しかし、先ほどお話ししたような会社の魅力まで合同説明会の短い時間で伝えるのは難しく、特に当社の場合は化学系に親和性のある説明となることが多く、機電・情報系の学生の関心を集めるところまではたどり着けていませんでした。
―毎年何名ぐらい新卒学生を採用しているのでしょうか?
技術系は例年で60~80名程度採用しています。そのうち約4割は機電・情報系のニーズがあります。エリアは絞らず、広く学生を求めています。しかし、本社がある名古屋や東海圏以外の学生にアプローチできていたかというと、学生からの認知度に課題があり、「知ってさえもらえれば魅力が伝えられるのに」というジレンマを抱えていました。多様性という観点でいろいろな地域の学生に選んでもらうことも重視していましたので、その点でもTECH OFFERは有効だと考えていました。
企業の情報発信手段の一つとしても活用
―導入後、具体的にどのようにTECH OFFERを使っていますか?
基本的には、学生の志向性をもとにアプローチできる「パーソナルオファー」でオファーを送っています。また、当社に興味を持ち「気になる」ボタンを押してくれた学生にもアプローチしています。
27卒の対応においては、TECH OFFERの営業担当者から「早い時期にオファーを送ったほうが承諾率が高い」とアドバイスをいただいたこともあり、3月~5月の早い時期でオファーをほぼ打ち切りました。その期間は毎日20分から30分、毎日TECH OFEERにログインし、定期的に動向をチェックしていました。
―TECH OFFERの使い方で工夫されていることはありますか?
TECH OFFERの一番の魅力は、対象となる学生を自動で抽出したうえで、その学生に自動でオファーを送れることだと思います。しかし私は、抽出された学生にそのままオファーを送るのではなく、時間が許す限り、ほんの少しでも良いので学生の情報を確認し、「この学生ならオファーを承諾してくれるのではないか」と思える学生に絞ってオファーを送っています。自動で任せられるところはTECH OFFERに任せつつ、実際にオファーを送る最終のところは必ずひと手間をかけるようにしています。
―コミュニケーションツールのような使い方もされているそうですね。
他のスカウト媒体と違い、一度オファーを送った学生に対して連続してメッセージが送れるので、オファー承諾をお願いするだけでなく、当社のトピックやメディア露出の情報などもメッセージで送っています。先ほどお話ししたとおり情報発信手段の一つとして導入した側面もあるので、その点でも効果を感じています。
ユーザーの声が届きやすいシステム

―テックオーシャンのサポート体制や営業担当者とのやりとりについてお感じになることはありますか?
導入間もない頃、当社にマッチするようにタイムリーにシステムを修正いただいたことをよく覚えています。「もっとこうなったら使いやすい」などの要望を担当者に伝えると、それがすぐにシステム担当の方に伝わり、スムーズに対処していただきました。以来、ユーザーの声が届きやすい会社でありシステムだという印象を持っています。
日常の運用においても、承諾率が思うように上がっていない場合に運用の戦略を変える提案をいただくなど、こちらの進捗を適宜確認したうえで対策を提案していただけるので、安心して運用できています。それによって実際に変化が見えてくるのが採用担当者として本当にうれしいですし、やりがいや楽しさも感じます。
―導入によって得られた具体的な成果を教えてください。
機電・情報系に関しては学生からのオファー承諾が確実に増えていることがデータ上わかっています。エリアの面でも、全国各地からオファー承諾が得られるようになりました。いずれも、自然流入では賄えないところをTECH OFFERでカバーできている印象です。26卒採用では4名の学生に内定承諾していただくことができました。
―TECH OFFERへのご要望や、「こんな機能やサービスが欲しい」といったご意見はありますか?
「気になる」を押してくれた学生に対して、選択式にしたうえで一括オファーができるようになればうれしいです。また、これは我々企業側から見えるものではありませんが、ブラウザではなくアプリで利用できるようにするなど、学生側の使用感に工夫していただけると、より多くの学生が積極的に行動してくれるようになるのではないかと思っています。
でも、基本的には非常に満足して使わせてもらっています。今後もさまざまな方法で活用の幅を広げていきたいです。
ー本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
